歴史の教科書では紙数をさいて説明してもし足りない、幕末と明治。その歴史に翻弄されて、咲いては消えていった日本の工芸美術の粋を、再認識させてくれる、またとない良書である。何故ならば、多くの名品は海外に流出してしまい、日本に残っているものは少ない。また、そのために、今の小中学生は義務教育において何が日本の歴史から失われてしまったかを、教えられることもない。何しろ、親の世代の私たちが知らないでこの歳まで来てしまったのだから。
というわけで、豊富な写真と大きめな文字と丁寧な解説で、まるで美術館に訪れているような世界に引き込まれるのだが、惜しむらくは好事家を対象にしているのか、振り仮名・読み仮名の類が少ないことである。せめて、作品名等にもう少し配慮が欲しかった…ので星一つ減じている。