カバーを飾る松山容子似の女性は、明治を代表する美女の一人「洗い髪のお妻」です。
西洋から二十年ほど遅れて始まった日本の写真は、化学薬品の入手が困難だったり(後進国でしたから)、高温多湿な風土に悩まされたりしながら、瞬く間に芸術の高みに登ります。明治の中期には乾板による写真が盛んに撮られ、写真を使った美人コンテストが開かれ、そこで有名になったお妻のブロマイドなどがよく売れたそうです。同時に野外に飛び出したカメラは、日露の戦場を、北辺のタコ部屋労働者を、占守島のアイヌを写す歴史の証人になっていくのです。
この書籍は、写真技法の進歩を背景にして、幕末・明治を代表するカメラマンを紹介していき、黎明期の日本写真の様子を伝えます。幕末にすでに女性写真家がいたというのも驚きです。