確かに常識とされてきたことが間違いだったと分かり覆された例は少なくない。しかし常識が全て嘘というわけではないし、ある理論や考えが常識となるのはそれなりの根拠や説得力があるからだ。
本書には根本的な問題が二つある。一つは常識が嘘なのか著者らが嘘をついているのか本書を読むだけでは判断できない点。データの提示は少ないし、提示があってもかなり断片的。「健診をうければ長生きできる」事を示すデータはないと言うが、それは比較対象となる「健診を全く受けない現代人の平均寿命」を誰も調べていないからではないか?「データが無い」と「理論が間違いである」はまた別だ。
二点目は各論否定で総論否定を行っている点。リサイクルの手法や技術に問題があることは確かかもしれないが、そこからリサイクル自体が間違いであるという結論を導きだすのはは飛躍だ。
全ての科学理論、科学的主張は究極的には仮説だし、政治的な思惑が入り込むこともあり、読者にそう理解させることは有益だが、ちょっと各論の細部にこだわりすぎな上に論法がぞんざいに感じる。
読者が「リサイクルは間違いだったのか」と結論を導き出すのと「物事は批判的に見ないといけないのだな」と結論するのでは全く意味が異なるのだから。