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読んでいる間中、文字の間に漂う緊迫した空気に肉体的な痛みを感じるほどだったが、これほど心の深いところまで入り込む本に出会ったのは久しぶりのことだった。これは夢や冒険のお話ではない。失っても失っても生きていかなければならない、私たちの物語なのだ。
3巻までは比較的短い期間に一気に書き上げられたこと、それなのに3巻と4巻の間に18年、4巻と5巻の間に11年の時間があるのがお分かりかと思います。この間の作者の心境の変化が、作風にずいぶん影響しているため、読者も評価を変えているのでしょう。(段々女性の視点からの物語になっているように、私は思います。より深く共感できようになりました。)そのあたりの経緯についてもっと詳しく知りたい方は、エッセイ集「夜の言葉」(1979年)「世界の果てでダンス」(1989年)をご覧ください。作風の変化は読者にどのように受け入れられるか。4巻は、その意味で試金石ともいえる作品です。
私がゲド戦記に出会ったとき、この物語は全三巻でした。それが、いまや「最後の書」と銘打った4巻の副題!を覆して、5巻まで刊行されています。今後どうなるかもわかりません。ゲド戦記は、変化しながら続いてゆく物語なのです。私も10年来のファンです。どうかこの物語に出会う方々が、変化も受け止めながら、長く読み継いで下さることを願うばかりです。
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