ゲド戦記は図書室の児童書の本棚に並べてあるが、
この4巻を置いてもいいものか?別に興味がなければ子供は読まない。
読むべきはこの物語の主人公のひとり、テナーと同じ立場にある
主婦(母親)たち。
イントロ部分から衝撃的だが、テナー(ゴハ)が拾うのは虐待され、
火傷を負った瀕死の子供だった。母親が身を任せた男たちに
焚き火に放り込まれ、顔や片腕、のどにまで火傷をさせられ捨てられた
テルーだ。
その昔、食らわれし者「腕輪のテナー」として、ゲドのいさおしの歌にも
歌われた栄光を持つテナーは、いまや子育ても終えた、農園の
中年の未亡人。世間体もある。しかし断固としてテルーを見捨てず
ゲドのふるさと、ゴントのル・アルビで育て始めた。
そこに、竜のカレシンに乗ったいまやただの壮年の男となったゲドが
瀕死の体で帰還・・・あれやこれや、厄介ごとを背負うのは
決まって平和に生きたいと願っている主婦の役目と決まっている。
やれやれ・・・
人生の達人になってから読むファンタジーなんて他にあるんだろうか。
あったら教えてほしい。この本以外に。
ル・グィンは勇気ある作家だと思う。人気に安住することなく
常に前に進むことをやめない。作風も変わる。でも根底に流れている
思想は断固として変えない。
それは、最も虐げられたもっとも弱い者にこそ、世界を一変させる力
が備わっていることを断言する勇気。
ゲドシリーズの中で自分が初めて手に入れたいと思ったのが
ゲド戦記最後の書「帰還」である。