ジュブナイルミステリーに定評のある作家はやみね氏が書きおろした、小説版TRICK。
山田奈緒子の一人称による展開で、物語は進んでいく。
女子中学生の山田奈緒子は、とある経緯から同級生の女子生徒3人と共に、N県踊螺那村へ向かうことに。
それは、山田のその後の人生を大きく変えてしまう出会いと驚愕に満ちた旅となるのだった…。
ストーリーは、実にTRICKらしい「因習に囚われた山奥の村」を舞台に展開される。
主役である若き日の山田とジロ(上田の事だが、何故そういう呼称なのかは本巻を読むべし)であるが、
くだらないことで対立したり協力したりと掛け合う様は、もう後年の二人そのままである(笑)。
主役二人だけではない。 母・里見や、なんと若かりし頃の矢部まで登場するのには少々驚いた。
また、大小様々なチープなネタを劇中に散りばめる手法もきちんと踏襲されている。
ファンが最も気にするであろう原作以前に出会っていたとされる本巻設定と原作との整合性も、
実に山田と上田らしい理由でとられており、隅々にまで、はやみね氏のTRICKに対する深い愛情が伺える一冊だ。
願わくば、この「青春版」をシリーズ化して欲しいところ。
はやみね氏の文体と本のサイズも相まって非常に読みやすく、何度も笑わされた。
ファンならずとも、ぜひ読んでみてほしい作品である。