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まず、著者は、北朝鮮を「地上の楽園」とする当時の宣伝が、ウソであったことが、帰国船に搭乗した時点で明らかになったと指摘している。このようなものであったにも関わらず、なぜ10万人近くが「帰国」することになったかについては、日本のマスコミの宣伝活動がきわめて重要であったと指摘している。
著者自身も、親が帰国する決意を固める中、本心では迷っており、こうしたマスコミ等によって情報収集し、「第三者」である日本のメディアによる報道であれば信頼できるのではないか、として、帰国の意思を固めたとしている。この意味では、10万人を「地上の地獄」に追いやった当時のマスコミ、そしてそのことを反省しない一部の勢力の罪状は甚大であり、絶対に処断されなければならない。
その後の北朝鮮での生活は、他の著作でも明らかになっていることだが、このような「監獄国家」が成立する要因として、食糧配給制度を基礎とする「糧政」が指摘されていることは示唆に富んでいる。すなわち、過重な労働に駆り立てる際にも、食糧配給と結びつけ、従わなければ、配給が制限されるという手法を用いているものである。このように、人々を、生きるか死ぬかぎりぎりのところにとどめ、食糧を用いて支配体制に肉体的にも精神的にも動員する、その体制は、まさに専制封建制度そのものであるといえる。その専制君主が金日成であり、北朝鮮の政治体制とは、単にこうした封建的体制が、「社会主義」の虚飾をまとったにすぎないものといえる。
こうした北朝鮮体制が本質的に問題であることと、帰国事業以来、それを支援してきた人々の罪状が、改めて明らかになっている。
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