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最も参考になったカスタマーレビュー
4 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
読み物として秀逸,かつ自分で考える「種」をまいてくれる。,
By ネジムン (tokyo) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 師弟のまじわり (単行本)
ハーヴァード大学の,あの「チャールズ・エリオット・ノートン記念講義(2001〜2002)」がもとになってできた本です。学問の世界における「師弟関係」というものが,文化的・歴史的文脈のなかでどのように形成・伝播されてきたかが,詳細に描かれています。多くの場合,博学で鋭い洞察力をもつ「学者さん」の文章は,専門家以外の人間には理解しにくいものです。 しかし,スタイナーは決してそういう人ではありません。内容はきわめて高度ですが,開かれている文章です。目次は以下のとおりです。 序 1.起源の存続 2.火の雨 3.偉大な師 4.思考の師匠 5.新世界にて 6.不老の知性 結語 5章の「新世界にて」では,現代の米国における師弟関係が記述されています。 ヨーロッパで脈々と受け継がれてきた師匠と弟子の知の伝承,そこには,本能的欲求(エロス的衝動)と,それを満たそうとする行為(教育)という微妙な関係があった。しかし,米国ではもはや,そのような関係性は存在しえない。その理由の1つは,米国という国を形成するアメリカ的精神が,本質的にアイロニーを受け付けないことにある。 続けてスタイナーは「アイロニー」について,嘲笑を受けた際に,それに応ずる独特の態度と感性であり,それが大人の分別を形づくる,と定義しています。 スイスと英国を拠点としていたスタイナーが,米国に招かれて米国のシステムを批判しているわけですが, 振り返って現在の日本社会,とくに2011年以来の日本社会,アイロニーやジョークが機能不全に陥っている日本社会を考えると, この批判が他人事ではないように思います。 読み物としても秀逸ですが,自分で考える「種」をまいてくれる,すばらしい本だと思います。
1 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
冴えわたるスタイナー節,
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レビュー対象商品: 師弟のまじわり (単行本)
相変わらずのスタイナー節。その切れ味に衰えは全く見られない。西洋精神文化の巨大な図書館の書架を知り尽くしたかのような博覧強記の自在な引用は、ため息ものです。 本書は一言でいえば、師と弟子の精神の葛藤をめぐる壮大な物語りとして、西洋精神史を読み解こうとするものです。 ソクラテスとプラトン、ダンテとウェルギリウス、ティコ・ブラーエとケプラー、フッサールとハイデガー・・・・ (川端康成の小説がなかで引用されているが、川端と三島という師と弟子の悲劇には残念ながら触れていない) なかでもハイデガーを論ずるときのスタイナーの筆はとりわけ熱をおびる。ほとんど苛烈といってもよい。 すぐれたハイデガーの読み手でもあるスタイナーだが、師フッサールや弟子アレントに対するハイデガーの卑劣で無様な振る舞いにはほとんど容赦がない。 これはユダヤ系である著者の長年のこだわりがあるのはもちろんだが、しかし今回特に感じたのは、これはスタイナーのハイデガーに対する近親憎悪という面もあるだろうということだ。西洋の人文主義的伝統の代表的継承者たろうとする壮大な野心、学問界に対する影響力、そしてなによりも教師としての圧倒的カリスマ性。こうした特性は、スタイナーその人が、だれよりもハイデガーに似ている点に他ならない。スタイナー自身が教師と弟子という関係をめぐってある悲劇的な経験をしたことを別の本(『私の書かなかった本』)で告白している。その意味でこの本は、教師スタイナーの弁明の書とも読めるものである。高度な知性と痛切なパトスが織り合わされたテクスト。ともかく抜群におもしろい本である。
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