3.11後の復興が喫緊の課題となる中で、関東大震災後の帝都復興を題材にした書籍が何冊か出版されたが、本書はその一冊である。本書は、後藤新平と復興院を取り上げた前半部分と当時の大衆文化を取り上げた後半部分に分かれる。
前半は、後藤新平と復興院に対する批判がその中心である。後藤新平は、その公表した都市計画などの規模の大きさから大風呂敷と揶揄された。著者の後藤新平に対する視線は冷ややかであり、ときには厳しすぎると感じるのは私だけであろうか。
後半は、当時の世相を天けん論、享楽化、退廃化などをキーワードに論じているが、著者のシニカルな文体もあって、読んでいて楽しくない。温かみが感じられないのである。本書を執筆した著者の意図は何であろうか?東日本大震災後に設置された復興庁に大して、警鐘を鳴らすことか?ネガティブなメッセージの多い本書は、3.11後の復興を願う人にとって相応しい本とは言えないであろう。