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帝国陸軍 見果てぬ「防共回廊」
 
 

帝国陸軍 見果てぬ「防共回廊」 [単行本]

関岡英之
5つ星のうち 4.6  レビューをすべて見る (10件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容紹介

「防共回廊」とは、旧帝国陸軍が極秘で推進していた世界戦略。満州、モンゴル、ウィグルの独立運動を支援することで「反共・親日国家群」をユーラシア大陸に林立させ、ソ連共産主義勢力の南下を遮断、東アジアの赤化を阻止して日本の國體の安寧を図るという壮大な計画だった。

日本の敗戦により頓挫するが、本書はこの構想に関わった林銑十郎大将(元首相)、板垣征四郎大将らの軍人や、歴史に埋もれた外交官、諜報員、現地関係者などの事跡を発掘し、戦前日本の世界戦略を再現する。

同時に現代にブリッジを架け、中国の支配下に懊悩するチベット、モンゴル、ウィグルなどの民族問題と日本との関係をも浮き彫りにする。

著者について

ノンフィクション作家。拓殖大学日本文化研究所客員教授。1961年東京都生まれ。慶應義塾大学法学部卒業後、東京銀行(現三菱東京UFJ銀行)入行。証券投資部、北京駐在員事務所、国際協力銀行出向などを経て、約14年間の勤務の後に退職。1999年、早稲田大学大学院理工学研究科に入学し、2001年、同修士課程を修了。

デビュー作『なんじ自身のために泣け』(河出書房新社)で第七回蓮如賞を受賞するほか、2004年刊行の『拒否できない日本』(文春新書)では「年次改革要望書」の存在を明らかにし、アメリカの日本に対する内政干渉を検証して大反響を呼んだ。主な著書に『国富消尽―対米隷従の果てに』(PHP研究所、吉川元忠氏との共著)『奪われる日本』(講談社現代新書) 『アメリカの日本改造計画』(イースト・プレス)『大川周明の大アジア主義』(講談社、2007年)がある。

登録情報

  • 単行本: 313ページ
  • 出版社: 祥伝社 (2010/3/16)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4396613598
  • ISBN-13: 978-4396613594
  • 発売日: 2010/3/16
  • 商品の寸法: 19 x 13.6 x 2.6 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.6  レビューをすべて見る (10件のカスタマーレビュー)
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10 人中、9人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
私は歴史には人一倍詳しいつもりでしたが、この本に書かれていることのほぼ全てを知りませんでした。この本が上梓されなければ、知らずに一生を終えた筈です。他の方のレビューにもありますが、戦後65年経ち、関係者もその子供も世を去ろうとしている時に、中国語の文献を含む驚くほど多くの史料を駆使して、戦後の日本人が全く知らなかった史実を掘り起こした著者に賛辞を送ります。筆者は、慶応大学を出て東京銀行に長く勤め、日本社会のエリートと言える立場にあった方ですが、大学生の頃から「チベット問題」などに関心を持ち、銀行員の勤務を全うする傍ら、研究を続けていた由。凄い方がおられるものです。

以前から「内蒙古で、自治政権を樹立した徳王」については辛うじて知っていましたが、「良く分からないが、軍閥の類」と理解していました。この本で詳細な履歴をはじめて知りました。徳王が、粘り強い努力によって、漢民族の支配を脱して、日本の後ろ盾を得たとは言え、はじめて内蒙古に「モンゴル人による自治」をもたらし、日本の敗戦後は、どこにも逃げず、最後まで内蒙古の自治を維持するために努力したが、報われずに獄死した「義士」であることを知りました。この本は、「徳王の名誉を回復した書」であると言えるでしょう。

また、戦前の日本陸軍が、当時の世界でトップレベルの情報力を持ち、特に中国とソ連に関する情報力では他列強を引き離していたことは、近年日本軍のインテリジェンス なぜ情報が活かされないのか (講談社選書メチエ)などで明らかにされつつありますが、大陸におけるチベット仏教勢力とイスラム教(回教)勢力を支援することが、日本の国益にかない、かつモンゴル人、ウィグル人、チベット人らの福祉にもつながると判断し、軍人・官僚としてのキャリアや生命を賭した人々が、陸軍や外務省のエリートを含め、何人もいたことを知りました。後世の評判が香しくない、林銑十郎 陸軍大将・首相がその先覚者であったことは驚きでした。

現在、中国政府による過酷な弾圧、民族浄化が伝えられるウィグル(東トルキスタン)に、戦前の日本が様々な手段でアプローチし、ウィグル人の「民族自決」を支援しようとしていた(それが、日本の国益に叶うから、だった訳ですが)というのは、本書ではじめて知ったことです。そして、ウィグル人の文化そのものである街カシュガルを、2008年の北京五輪の後、「再開発」と称して消滅させようとしていること、北京五輪の直前に外国記者団がウルムチの街を中国官憲に案内されていた時に、中国官憲に夫や父を拘束されているウィグル女性や子供たちが自然発生的に数百人規模でデモを行い、外国記者団の目の前で「完全武装の中国官憲に、素手のウィグル人、それも女性や子供が立ち向かう」惨事が起きたこと、外国報道陣が中国官憲に取材を妨害されたこと、その直後に、武装した漢族男性たちによるウィグル人への「報復」が行われたことなどが淡々と記されています。

この本に書いてあることが、65年前の日本の敗戦で終わったことではなく、現在進行形の重大な人権問題である、というのを実感させる記述です。

この本のあとがきの最後で、筆者が
「この世に生を受け、この三作(なんじ自身のために泣け大川周明の大アジア主義、本書帝国陸軍 見果てぬ「防共回廊」)を残すという僥倖に恵まれ、もはや何も思い残すことはない。あとはただ、チベット、モンゴル、ウィグルなどの抑圧された諸民族が、一日も早く自由と幸福を取り戻すことを願ってやまない」
と述べています。「抑圧された諸民族が、一日も早く自由と幸福を取り戻すこと」は私も願ってやみませんが、1961年生まれの筆者はまだ50歳、「思い残すことはない」などと言わず、これからますます健筆を振るって頂きたいです。

筆者が『防共回廊』が実現していれば、東アジアの歴史は大きく変り、中華人民共和国と朝鮮民主主義人民共和国が生まれることはなく、億で数えるべき莫大な人命が失われることはなく、モンゴル、ウィグル、チベット、回民(中国各地に,小集団を作って暮らしているイスラム教徒。この本で詳しく解説されています)らの諸民族が、中国共産党の圧政下で塗炭の苦しみを味わうこともなかっただろうと慨嘆しているのには全く同感です。

「自分は歴史に詳しい」と自認する方にこそ読んで頂きたい名著として高く評価します。
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57 人中、46人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 飛山
形式:単行本
この本に出てくる日本人の名前は、かなり日本近代史に詳しい人でも、知らない人がほとんどだろう。しかしおそらく、未来に新たなる『東亜先覚志士紀伝』が編纂されるようなときがくれば、ここに登場する日本人たちはその登場人物となるだろう。『東亜先覚志士紀伝』とは、満洲国建国後に内田良平が編纂した浩瀚な東亜先覚の人物伝である。
関岡氏の本著はそれほどの画期的な書物である。
今まで日中間の近代史と思われていた戦争の相貌がまったく違った視点から見えてくる。
「防共回廊」――なんと素晴らしい計画であり、気宇壮大なロマンであったことだろうか。
今までの視点では、日本の中国侵略としか言い表されなかった日本の軍事行動が、「防共」という観点を入れることによって、大きな意味の転換がなされるのだ。
満洲の満洲人、内外モンゴルを通じるモンゴル人、そしてダライ・ラマを中心としてまとまるチベット人、中東と手をつなぐウィグル。これらの回廊を日本は本気で結ぼうとしていたのだ。
関岡氏はシナに住む回教徒を「回民」と当時の言葉で表現する。戦前の盧溝橋の絵葉書に、橋を渡るらくだの隊商の群れの写真が使われているが、あれは回民たちの仕事だったのだろうか。
「防共回廊が実現できていれば朝鮮戦争もべトナム戦争もなかった」というあとがきは、日本のかつての軍事行動の正当性を如実に物語る。歴史の可能性を我々に信じさせる。
この本によって、多くの日本人が自国の近代史に自信を持つであろう。
多くの人に読まれることを祈る。
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1 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
読みながらかなり興奮してしまう本。この本を特徴づけるサブタイトルをつけるとしたら、「大川周明」「イスラーム」そして大川周明の考えに基づき国交を開いた「アフガニスタン」としてみたい。
しかし落ち着いて考えてみると、アイデアは壮大だがどこまで現実的なアイデアなのか、実際に当時の日本に実行可能だったのか、というのは多少疑問が残る。
大川周明の教育機関についての記述があるが、塾生の方がまだご存命で、そのインタビューDVDがあるのも発見した。そちらも大変興味深い。他の方のレビューで当時のイスラームといえば東南アジアとのご指摘がありましたが、インタビューによると大川塾ではアラビア語やペルシア語を教えていたとのことなので、やはり中東へ実際に塾生を派遣することを考えていたように思える。
あとあえて気になるところを上げるとしたら、西川一三の日本敗戦後の残留とインパール作戦への評価だろうか。敗戦後、内地にかえっても植民地になって(まさに関岡さんが今指摘していること!)男は奴隷、女は強姦されているから帰っても仕方がないから残る、とした人が結構いた。西川にも似たような認識はなかったのだろうか。またインパール作戦はたしかにインド軍の積極さはあったが、この本の書き方はどうかな?
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