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30 人中、27人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
帝国アメリカの落ち着くところは、ただの大国,
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レビュー対象商品: 帝国以後 〔アメリカ・システムの崩壊〕 (単行本)
E.トッドという、このフランスの社会学者が確たる根拠に基づき、大胆にそして正直にアメリカ帝国の崩壊を述べた驚嘆に値する著作である。著者は、米国は以下の3点において、歴史において帝国の名に値する組織体としての不足振りを指摘する。 1.世界は米国なしでやっていけるが、著しく生産性が低く消費するための物品を他国から輸入しなければいけない米国は、世界なしではやっていけない、という経済的弱さ。 2.米国の軍事力は全世界を支配するには弱く(特に陸軍)、強制力が不十分である。 3.自国民と諸国民を平等に扱うという「普遍主義」という活力と同時に安定性の原理が衰退している。 故に「2050年前後にはアメリカ帝国は存在しないだろうと確実に予言することができる」と明言している。 さらに、トッドは「米国は猛烈に消費する国であり、その国際収支の均衡を維持しているのは金融資本の動きであり、欧州、日本その他の国の投資家たちが身ぐるみはがされるのは間違いない。最も考えられるのは前代未聞の証券パニックに続いてドルの崩壊が起こるという連鎖反応で、その結果は米国の帝国としての経済的地位に終止符を打つ」と述べている。 証券パニックはすでに起こり、ジム・ロジャースは「数年以内にドルは90%値下がりする」と言っており、ドルの崩壊も時間の問題とすれば2050年を待たずして、経済的帝国はまもなく終焉を迎えると言うことになる。 世界の国々の識字率の向上と共に出産率の低下が起こり、人口革命が起こった結果、イスラム圏を含む民主主義の全世界への浸透が可能になった。また欧州とロシアとイスラム圏は平和的関係を構築しつつある。 真の力とは教育であり、真の権力とは経済である。 米国はただの大国に甘んじる以外にないように思われる、というのが本書での結論である。
31 人中、25人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 3.0
「識字化」と「受胎調節」が世界史を動かす,
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レビュー対象商品: 帝国以後 〔アメリカ・システムの崩壊〕 (単行本)
アメリカの国際政治力の限界を論じる本、といえばジャーナリストか政治学者が書きそうな気がするが、本書の著者は新進気鋭の人口学者で、しかもフランス人である。アメリカ人自身もアメリカを批判するかもしれないが、フランス人の著述は、より辛らつである。 アメリカはローマ帝国のような真の普遍主義を持たない、と著者は言う。本国の市民権を属州にも広げた普遍主義がローマ帝国が安定した要因だったが、アメリカのグローバリズムは自国に都合のよい“普遍主義”でしかない。 本書のユニークさの源泉は、著者が人口学者という視点で世の中の動きを見ていることである。著者トッドによれば、世界を変えていく力は「識字化」(国民の大多数が文字を読めるようになること)により発生し、識字率の高まりに伴う近代化のため社会が混乱する時期を経た後、安定に向かう。やがて識字化によって個人の自覚に至った女性自身による受胎調節が普及し、地球の人口爆発は避けられるだろう、という。 アメリカの衰退に話を戻すと、アメリカがアフガニスタンやイラクで軍事力を誇示してみせても、ヨーロッパや日本の警戒心を深めさせ、アメリカから離反・独立をうながすことになるそうだ。
32 人中、25人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
驚くべき洞察とビジョンの書,
By ハナちゃん (東京都) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 帝国以後 〔アメリカ・システムの崩壊〕 (単行本)
共産主義が崩壊した後、久々に議論に足る世界観と歴史観を備えた書物に出会えた。しかも、著者のアメリカ衰退論の基礎には、具体的な統計数値があり、検証が可能である。少なくともブッシュの気まぐれな悪の枢軸論に翻弄されて生きるよりは数段ましである。シラク大統領が、なぜあれほど明確に、アメリカのイラク侵攻に反対できたのか。ドイツやロシアは、なぜフランスに味方したのか。本書を読めば全て分かる。今、世界を動かしている本。
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