玄田有史編著『希望学』
希望を個人の問題としてだけでなく、
社会の問題として科学的に考える希望の社会科学を「希望学」として、
希望と社会とのかかわりを調査・分析していこうとする本。
希望学として最初に世に問われた書物である。
ニート、若者の希望喪失、社会の閉塞感、といったキーワードから、
世の中には希望がない、といったありきたりな根拠のない議論が、
展開されるのかと思いきや、
本書の内容はまったくそんなものではない。
20〜40歳代の男女875人を調査対象としたアンケートに基づいて、
数人の研究者による数本の小論と対談が掲載されている。
本書では、例えば、「恋愛と結婚の希望学」の章では、
「男性では、失恋未経験者のほうが、失恋経験者よりも、恋愛断念率が高いが、
女性には、恋愛の挫折経験の有無は、恋愛の希望の有無に関係しない」
というようなことが記されている。
希望というあいまいな概念を取り上げ、
アンケートもあくまで回答者本人が希望を持っていると感じているかどうかという、
最終的にはその個人の感覚に帰するものである上に、
ひとつの相関関係が見られると、無理にそこから何らかに結論を導こうとしていたり、
一つ一つの分析には恣意的な解釈っぽい部分もあるが、
本書には実に様々な分析が記されており、
非常に興味深く、次にどんなものが出るか楽しみである。