海老蔵を天才と思う人なら、もっとその魅力を探りたいと思う。でもこの本を読むと、海老蔵を知る以上に、海老蔵から啓発されるのではないでしょうか。
本書はかつて私が読んだ歌舞伎役者の対談本のようなありきたりの本ではない。
ありがちな本では、トークショーのように、
「歌舞伎とはあなたにとって何ですか」とか「芸を伝えるとは?」「あなたの人生で…」など、インタビュアーがありきたりの質問をしてそれに役者が答え、まとめるというパターンで作られる。
これは、もっといい意味で裏切られる本。
人気者の茂木さんが登場するところがちょっと人寄せパンダのようにも思えるけど、
実際はある意味、茂木さんは一般人代表のような存在にすぎません。(ちょっと表現が変ですけど天才的な海老蔵に対すると茂木さんもただの人に思える…)
次に登場する人物は木村秋則さん。名前を言われてもピントきませんが、NHKの茂木さんの番組で紹介した化学肥料、農薬を使わず自然の力だけでりんごを収穫することに成功したあの人です。自然に学びりんごの言葉を解し驚異の抗酸化力を備えた命のりんごを結ぶ木を育てた人。そのほか訪ねる人も海老蔵という名前で人を判断するのではなく真実を見ようとする人たち。対談を読むうち、既存の枠に縛られず自分の目でものを見るということの意味を我々に気付かせます。
読む者は「眼に見えない」本当に「大切なもの」を追い求めたくなります。ある高僧が言われるには、海老蔵はいいお坊さんになれる人だそう。修行を積み高僧になれるだけの精神力をもっているという意味でしょう。これを読むと自分ももっと精進してもっと自身を輝かせたいと思えてくるのです。本書は現代日本で物凄いパワーを持ち合わせたアーチストである海老蔵に近づける(=知るという意味と、彼のように自分を磨きたくなるという意味です)一冊。ぜひこの中身、簡単に読める一冊ですから一読どうぞ。
読んだ後でこの表紙を見るとこの海老蔵、自分の内なる邪気を払ってくれそうないい「にらみ」をしています。