IDATEN主催の感染症セミナーの内容を,コンパクトな入門書にまとめた本です.他の書評にあるように総論的な内容であり,救急診療の現場で活躍している人にはcommon senseと思います.大曲先生を始めとして錚々たる若手の指導者が執筆していますので,講演やセミナーでのinteractiveな討論をそのままQ & A形式で書き下ろした方が賢明だったかもしれません.
それでも,市中感染症の診療は常に基本の繰り返しであり,風邪,発熱,腹痛,頭痛,咽頭痛を訴える患者の感染症トリアージの感覚を常に研ぎ澄ますことが大切に思います.日常的に遭遇する症例をいかに合理的に診断し治療するのか,研修医とっては診療のイロハを勉強するのに適当な入門書です.また,彼らを指導する臨床経験5年以上の専門医資格をもったお医者さんにも呼んで欲しい内容です.可能であれば微生物や抗菌薬の解説は他書に譲り,ウイルス性心筋炎,小児発疹性疾患,伝染性膿痂疹,非定型肺炎(マイコプラズマ,クラミジア,レジオネラ),結核,感染性動脈瘤なども取り上げて欲しかったと思います.
次回作ではHealthcare-associated infectionの解説に期待します.