寺への帰路で豪雨に見まわれ、やむなく途中のあばら屋に逃げ込んだ1人の僧。小屋には白装束の御行、人形遣いの女、そして初老の商人と若い男が居合せていた。雨宿りの余興に始まる「百物語」。一見無関係な怪談話は、意外な符号を伴って僧の心の内で形を成す。小屋の外では「しょり、しょり」と何者かが小豆を磨く音が。やがて僧は、恐るべき怪異と出会う…。
立ち現れるのは、江戸時代の絵師竹原春泉の『絵本百物語』に描かれる小豆洗い、白蔵主(はくぞうす)、舞首、芝右衛門狸、塩の長司、柳女、帷子辻(かたびらがつじ)の7妖怪。又市をはじめとする小悪党一味、山猫廻しのおぎん、事触れの治平らは巧妙な罠を十重二重(とえはたえ)に張り巡らせ、どうにも立ちゆかない事態を「妖怪」のしわざとして収める。著者自身の言葉を借りれば、本作は、難事件を「妖怪」と名づけて払い落とす中禅寺のシリーズの「裏返し」なのだそうだ。
又市は「悪党だから死んでもいいなンていううざってェ小理屈も俺達にゃァ関係ねェ」とうそぶく。そして「悲しいねぇ」と言葉を継ぐ。登場する妖怪たちは、人間の心の闇や業(ごう)が形を成した末の「悲しい姿」だ。そもそも春泉の『絵本百物語』は人間の醜い心を風刺したものでもある。その業を見据える又市の姿が、たんなる勧善懲悪の時代劇ではない深みを物語に与えている。(中島正敏)
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11 人中、11人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
初心者向け短編集,
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レビュー対象商品: 巷説百物語 (角川文庫) (文庫)
京極夏彦氏が妖怪機関誌「怪」にて連載していた短編集。京極作品は分厚くて入りにくい、という先入観がある方にこそおすすめ したい一作です。一作が70ページ前後とわりかし読みやすく、かつ内容 はきっちりと書き込まれている。たたみかけられるような話の展開に、 毎回にやりとしてしまいます。
23 人中、21人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
置いてけぼり,
By 太 - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 巷説百物語 (角川文庫) (文庫)
京極堂シリーズと同様に主人公は活躍しない、というより 何時の間にかずるずると巻き込まれてしまう。 はて、物語の中心になったかと錯覚するが 終わってみれば 結局自分は凡人でございましたと痛烈に再確認させられる。 事件が終わった後の喪失感。 それは主人公だけではなく読む側にも訪れる感情である。 それでも、置いてけぼりにされてしまった寂しさより
7 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
すいません、にわかファンですが・・・,
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レビュー対象商品: 巷説百物語 (角川文庫) (文庫)
直木賞受賞で彼を知ったにわかファン(名前は知ってたが読むのは初めて)の若造なので前からの読者には怒られそうですが・・・初めて読んだのがこの作品でした。単純に面白かった!! 最初は時代物っぽい作品は読まず嫌いでしたがこの作品で払拭できた。 妖怪とかそうゆうファンタジーちっくなものは苦手だったけど読んでみると実は・・・まだ読んでない人もいると思うのであまり内容に触れるようなことは言わないほうがいいと思いますが(って言っても他のとこで大体の内容は知れると思うが)本当の問題は人間の情というか人の罪というか・・・ 様々な悪人が妖怪になぞられて最後には予想外の結末とストーリーが明かされる。1話1話で完結しているので読みやすいと思う。その1話1話の中で様々な伏線が隠されており最後にはびっくり!!みたいな感じ。 まさに和製スティーヴンキングと思うのは自分だけ??(作風は異なるが)
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