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差異と反復〈下〉 (河出文庫)
 
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差異と反復〈下〉 (河出文庫) [文庫]

ジル ドゥルーズ , Gilles Deleuze , 財津 理
5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (2件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

自ら「哲学すること」を試みた最初の書物と語る、ドゥルーズ哲学のすべての起点となった名著。下巻では“理念”、そして強度、潜在性などの核心的主題があきらかにされるとともに、差異の極限における「すべては等しい」「すべては還帰する」の声が鳴り響く。それまでの思考/哲学を根底から転換させる未来の哲学がここにはじまる。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

ドゥルーズ,ジル
1925年生まれ。哲学者。1995年、自ら死を選ぶ

財津 理
1947年生まれ。思想研究家(現在、法政大学教授)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 文庫: 436ページ
  • 出版社: 河出書房新社 (2007/10)
  • ISBN-10: 4309462979
  • ISBN-13: 978-4309462974
  • 発売日: 2007/10
  • 商品の寸法: 14.8 x 10.8 x 2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (2件のカスタマーレビュー)
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形式:文庫
多様性とは?
一つの問題を設定するということは、一つの解を導く。いわば、問題を設定すれば、その解が何であるかということは、問題の設定の中に含まれている。問題を設定するに当たっては、複数の問題を設定していくことが出来る。一つの問題と解が作り出す世界観。それが複数であれば、複数の世界観が成立するということになる。そして、一つの問題と解から、別の問題と解に移行することも出来る。これが流動性と運動性である。
 この世界は生成変化してやまない流動的な世界であり、同一性の存続を許さない。同一性は、永遠回帰の選別する力によって、ふるいにかけられ、破壊される。そして差異に溢れた流動する生成変化する世界が描き出される。
 これほど躍動感に満ち、読み解いていくことが楽しい哲学書を私はこの書物以外に知らない。
このレビューは参考になりましたか?
12 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
(<上>からの続き)
この本が出版された1968年は、日本では東大紛争をはじめとする学生運動の年、フランスでは「五月革命」といわれる若者の反乱があった年です。それぞれ事件の経緯や闘争の様相などは異なりますが、共通して時代の背景にあるのは、教育の普及により大学教育が大衆化して学生数が増え、大学の授業環境が劣悪になり、卒業生の社会的身分が低下した、すなわち受験勉強を含めた教育投資に見合わなくなった、にもかかわらず社会的地位の向上には大学教育を受けなければならない、という産業社会における学歴の矛盾の問題です。

ドゥルーズはそれまで大学のアカデミズムの中で、多少異色ではあるがまじめな哲学史研究学徒でした。しかし彼は本来西洋哲学の伝統に対して批判的で、そのことはこれまでの著作でも明らかでしたが、この本ではそれがアナーキズムの傾向となって鮮明に現れています。

これまでの同一性と表象(representation)を基本とする哲学では、民衆の意思が少数の政治家、あるいは革命のリーダーによって代表(representer)され、少数者の意見は無視されてきました。パリの五月革命は少数者である学生が代表制民主主義のルールを無視して、暴力によって自分たちの主張を表現しようとした事件です。

それは大人たちから見ればわがままでアンモラルで、そもそも何を言いたいのかわからなかった。たぶん当時暴れた若者たちも、自分でもなぜ暴れるのかわからないまま暴れたのかもしれません。

本書はそんな学生たちの主張を、既成のどんな政治勢力によっても代表されない差異として位置づけ、形もなければ根拠もない彼らの暴力に一定の正当性を与えるものとして受けとられました。これが数年後の「アンチ・オイディプス」のブームにつながります。その意味でこれは歴史的な本です。この難解な哲学書を自分たちの理論として理解した、当時のフランスの学生の知性の高さに驚くし、これを博士論文として受けとったフランスのアカデミズムの度量の広さに感動します。

日本でドゥルーズの思想が受け入れられるようになったのはようやく80年代になってから、全共闘のパワーはとうに消え、「ニューアカ」の名のもとに、高度産業化社会でありあまる付加価値を巧みに消費する思想として受けとられました。原著執筆当時の熱気が伝わらなかったのはいたし方のないことですが、残念です。

私たちがこの本を読むとき、あらためて日本の68年の混沌とした文脈に戻って理解しなければなりません。あの時代の問題は、インターネットの今日もなお未解決のままなのですから。

ただ、この本を読むのには相当の覚悟が要ります。私たちのこれまでの常識、たとえば時間の捉え方や概念をイメージとして捉える思考法をすべて覆してかからなければなりません。この世界はビッグバンによって始まり、それ以前には存在しなかったとするのは、現代物理学の成果であり今日では常識ですが、ドゥルーズはこれに対してニーチェの永遠回帰、世界は永遠に繰り返すというオカルト的な時間概念をぶつけてきます。この間にどのような整合性を取ることができるというのでしょう。その他にも日本人にはなじみのうすいフロイトやラカンの精神分析の概念があちこちで援用されている。挙句の果てにリーマン幾何学まで持ち出された日には、ほとんどお手上げです。そんなことを克服することがこの本を理解する鍵となります(わからないところは読み飛ばすにかぎります)。

それからもう一つ、翻訳があまりよろしくない。私はこの本がハードカバーで出たときに買いましたが、読むのに20年かかりました。それも原書と照らし合わせてようやく理解できたという状況です。それで減点1。

だれにでもすすめられる本ではありません。ただ「アンチ・オイディプス」や「千のプラトー」を読んで、もっと深くつっこんで理解したいという人は挑戦してみてください。あの本ではきちんと説明されていなかった特殊な概念のいくつかがきちんと説明されています。
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