マンガには、私たちの思想の<型>が反映されている。
それはどのようにして生まれ、形作られ、再生産されてきたのだろうか?
「マンガを読むこと」で刷り込まれてしまう常識や感性に、三人の論者が迫る意欲作!
部落問題研究所の機関誌「人権と部落問題」に連載の同名コラム、待望の書籍化。
「登場キャラクターの見た目と性格」「時代とともに変容する歴史マンガのメッセージ性」「身近なメディアだからこそ起こる問題」の三つの視点を通して、「マンガ」というメディアが私たちのどのような思想背景のもとに成り立っているのか、そして、私たちの認識・感情・行動にどれほど影響を及ぼしているのかを考察します。
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最も参考になったカスタマーレビュー
23 人中、18人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
マンガと差別の根源を思考する,
By 暁斎珍本堂 "珍本堂" (札幌市西区) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 差別と向き合うマンガたち (ビジュアル文化シリーズ) (単行本)
著者たちのたくらみは想像以上にラディカルだ。本書の標題から、道徳の副読本に使われそうな官製マンガや、「部落」「在日」といったマージナルな人々を描く社会派マンガを扱っていると想像されるかもしれないが、ちがう。それらを扱わないわけではないが、それよりもさらに広範な問題、すなわち、「『マンガというジャンル』と差別」、さらには、「『マンガのある社会』における差別」こそが本書のターゲットなのだ。 その根拠は、マンガが「社会を呼吸するメディア」であることに求められる。日々猛烈な勢いで生産・流通・消費されるマンガは、読者の常識や欲望を取り込み、類型化し、拡散する機能を持つ。そしてその世界像は、「マンガを読む」という行為に限定されるわけではない。静かな部屋を「シーン」と、ショックを受ければ「ガーン」とオノマトペが頭の中で踊ってしまう私たちは、既に思考回路それ自体をマンガに接続されているのである。 であればこそ、マンガ固有の表現技法を無批判に享受することはできない。文字と画像を併用して物語を構築するマンガ表現において、類型化やデフォルメは説明を省略し印象を深める大切な技法だが、同時に、そこに性別や人種や国籍や社会階層にまつわるステレオタイプが使われがちなことも看過すべきではない。 もちろん、「だからマンガは悪だ」などという皮相な批判が状況の理解や改善に役立たつわけでは全くない。実際、マンガ的技法を駆使しつつ、マンガ的技法を支えるステレオタイプの不条理をえぐり出した秀作も決して少なくはないのである。そして著者たちは、作品と社会に寄り添いつつ「考え続ける」ことを選択する。マンガと社会をめぐる複雑さにしぶとく付き合っていくために、それは、ささやかな、だが、確かな一歩なのだ。 いずれにせよ、私たちは考え続けなければならないのだろう。「マンガのある社会」の一員として。
3 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 3.0
著者の意図と離れたところで面白い一冊,
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レビュー対象商品: 差別と向き合うマンガたち (ビジュアル文化シリーズ) (単行本)
漫画を読むという行為は均質だと考えている。果たして我々は本当に同じ「マンガを読む」という行為をしているのか。 本書の主題とは異なるが、このことについて考えさせられた。 マンガが読みやすいのは、差別と表裏一体の存在であるステレオタイプに依存しているからだという考えは、言われてみれば当然なのだが、改めて考えると非常に興味深い。 差別とマンガの関係性という、本書の最も肝心な部分では、論旨に同意しかねる部分もあったが、マンガを読むという何気ない行為を、意識的な行為に変換する上で、本書は非常に役立つ。 我々はマンガを読んで、何をベタだと思い、何を意外な設定だと思い、何に新鮮味を感じるのか。 今一度考えてみたくなった。 マンガというところから離れて感想を述べると、顔がパーソナリティの情報源として機能していない写真の普及以前という世の中での、美に対する価値観は相当違うのだろうなあと感じた。だからこそ立ち居振る舞いに江戸の人々は何彼と評価を付けていたのか? あと、平安時代の穢れへの対応がどんどんエスカレートしていく様子は面白かった マンガに関して云えば、『ASUKA』に掲載されている作品の登場人物の名前の難解さは、その名前が読める自分という存在に対する「選ばれた」という意識を持たせることに成功しているのではとあったが、そもそもあの雑誌に掲載されているマンガのジャンルを考えるに、そもそも登場人物たちが「選ばれた」存在であることが重要で、その記号なのではと感じた りぼんに原爆が関わるマンガが掲載されていたなんて、時代が違うなあ・・・
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