息を呑む迫力である。大企業の破綻過程を当のトップ自らの筆でこれほど克明に分析し公開した書は他に例を見ないだろう。破綻原因の究明や処理の適否などを感情を抑えた筆で冷静に記述しており事実の重みを感じさせる。分かりにくい金融問題の実態を局外者にも理解できるよう明快に整理した手腕も見事だ。
長銀の破綻は長銀自身に原因があることは本書の記述からも明らかである。が、同時に本書を通じて行政や政治の姿や銀行事業の特質などが自ずと見えて来る。護送船団行政から自己責任制へ急転換し銀行を追い込む行政。参院選の敗退で浮き足立ち、選挙区民への説明しやすさだけで巨額の国民負担を伴う銀行破綻の道を選ぶ政権党。無責任な雑誌の一片の広告文だけで追い詰められる、市民からの信用に存立を依存する、銀行という事業の脆さなど。
長銀の破綻は長銀だけの問題ではない。金融危機の具体的実像がここに示されている。
時あたかも世界的金融危機である。この一書は現在金融界で起きている事態の本質を把握する上で必読と云って過言ではなかろう。