2年前のシカゴ国際映画祭には、若松孝二の「キャタピラー」や森田芳光の
「武士の家計簿」など5本の日本映画が出品されましたが、
その中で異彩を放っていたのが、三家本礼のコミック「巨乳ドラゴン」を、
AV女優の蒼井そら、かすみりさ主演で映画化した本作です。
予告編を観たときは、タランティーノの「グラインドハウス」の亜流作では
ないかと思っていたのですが、中野貴雄の監督作だけあって、
雑誌「映画秘宝」が歓喜しそうな、本当の意味で、
紫煙の漂う小便臭い場末の映画館が似合うお粗末な作品で、
B級映画の領域を侵犯するタランティーノやファレリー兄弟に、
本来のB級映画、お馬鹿映画とは、こういう作品のことを言うのだよと、
恥も外聞もなく、アマチュアテイストの何たるかを実践して見せた、
エログロナンセンススプラッタコメディーに仕上がっています。
日本情緒溢れる鄙びた温泉街にある、いつもガラガラの
ストリップ劇場を舞台に、ゾンビと化した温泉客が、女体盛りならぬ、
全裸の女性のはらわたを箸で摘み食いするシーンや
同じくゾンビ化したストリッパーが、女陰から火を噴き出すシーンなど
外国人に受けそうな、日本独自のマンガ風爆笑下ネタ満載で、
シカゴ映画祭からオファーが来たのも頷けました。
さて、いつもAVでは、男のなすがままに玩ばれ、
苦悶の表情しか見せない蒼井そらとかすみりさですが、
本作では、その鬱憤を晴らすかのように、
生き生きとした女優の表情で、ゾンビ相手にチェーンソーと日本刀を
振り回して大暴れする姿が微笑ましく、思わず、頑張れよ!と
心の中で声をかけてしまいました。