メディアに向けた写真でビキニ姿の巨乳アイドルたちに囲まれる中央に陣取るひときわ異彩を放ちながら異様な雰囲気を漂わせる強面風の男――巨乳アイドル軍団イエローキャブ(現在はサンズ)の総帥・野田義治
“イエローキャブ=巨乳アイドル”のイメージを作り上げた仕掛人である野田氏。氏がメディアに登場した時、その風貌やアイドルとの見た目のギャップのあまりの大きさに違和感を感じると同時にどのような人物 (男の顔は履歴書というが、野田氏の風貌から一見ただならぬ経歴の持ち主のようにお見受けした)なのか関心を持って以来、この度本書を手にした次第である。
本書はノンフィクション作家の雄・大下英治氏が野田義治氏の半生とイエローキャブ及びグラビア界の歴史を垣間見せる内容となっており、何より読み物として大変面白くなっている。イエローキャブの発足が元々遊び仲間であった黒澤久雄氏(巨匠・黒澤明監督のご子息)が社長であったという意外な挿話や今日のグラビアタレントの地位を確立させた “
堀江しのぶ” と“
かとうれいこ”の両氏の挿話は興味深い。
また、他にも登場するグラビアアイドルの多くが自慢のボディーにばかり注目を浴びる事にコンプレックスを感じていることやあくまでもグラビアは売り出すための手段であり、本当は歌やダンスや女優を目指す彼女たちにとってそれが目的でない事がよくわかった。
野田氏もその事を認識しつつ、彼女たちが息の長いタレントになるようにサポートしながらも挨拶や礼儀作法について厳しく説いており、だからこそ多くのアイドルが去るグラビア界で
MEGUMI、
小池栄子、
山田まりやといったイエローキャブ出身者が芸能界で活躍するのも本書を読んでよくわかった。
その原点にあるのがイエローキャブ第一号タレントであった故・
堀江しのぶ氏(1988・9・13逝去、享年23歳)の存在が大きかったであろう。働き盛りのなか突如病に倒れ、夭折した彼女の遺志が野田氏の教えにより、後輩のグラビアアイドルに受け継がれているのが感じられた。