戦前の思想を、大雑把に見直せる本。大雑把というのは、網羅性に欠けるためだが、これをはじめたら、キリがないだろう。
しかし、北一輝、頭山満、大川周明、石川三四郎、田中智学、大杉栄あたりは、当然のように登場する。このあたりはおもしろいし、勉強になる。ほかの「右翼・左翼本」との決定的な違いである。
さらに、三島由紀夫や高橋和巳もたくさん取り上げているし、毛沢東のことも、そして!そして!西郷隆盛のこともわかる。
冒頭で、昨年の政権交代の話から始まって、最後が「加藤の乱」のときの谷垣で終わるという構成もおもしろい。偶然かもしれないが、現在→戦前・戦中・戦後→現在というな展開になっているわけだ。
さて、問題は、戦前の日蓮主義。この研究書はあまり多くない。ここに斬り込んだのは、この本が単に「右翼・左翼」を語っている「軽い本」ではないということを意味しているだろう。日蓮主義という点において、宮沢賢治と石原莞爾は交わる。そうなのだ。
佐高氏が、もし賢治が長生きしていたら、右翼のイデオローグになっていたかもしれないと述べているが、まさにそうだと思う。重要な視点だ。彼は一般的にイメージされている童話作家ではない。
とにかく、日蓮、日蓮主義という存在を見直すことが、戦争にいたる日本を見直すことになるので、重要なテーマだろう。
本の中身としては、一方で、右翼の街宣車の話とか、実際に会ってみた麻原彰晃や美輪明宏の話とか、「朝まで生テレビ」の話とか、リアルで軽めの話題もおもしろい。楽しめる。
・・・・・・というわけで、一概に「こういう本だ!」と評価しにくいところに、この本のよさがあると思われる。まず、買っておいて損はない。内容面からみて、価格は安い!
タイトルは、もう少し、工夫の余地、一考の余地があったのでは? まあ、サブタイトルでわかるからいいのかな? なので、星4つ。微細な部分かもしれないが。
右翼の諸君も、左翼の諸君も、無党派の諸君も、まあ、勉強しましょうね、この本を出発点にして。