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9 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
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By 唐沢 大 (東京都) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 工学の歴史と技術の倫理 (単行本)
ぼくの仕事では、「エンジニアリング」という言葉に接することが多い。けど、実際みんな違う意味で使っていて、何を指すのかよく分からない言葉でもある。ということで読んでみたのだが、本書は、工学/ Engineering / Technique がどのように生まれてきて変遷してきたかについて簡潔にまとめたものである。もともと、Engineer というのは動詞で「何かをうまく行扱う」というような意味で使われていた。それは具体的にはもろもろの職人仕事を指しており、「科学」と「現実」(あるいは「生活」と言ってもよい)をつなぐ現実的手法であった。それが、19世紀くらいから科学自体として昇華、学問化していく(このくだりがおもしろい)。 その学問化はどこから始まったか。例えば、現代でも一流の工学校であるフランスのエコール・ポリテクニークは、もともと「橋と港の学校」であったことからも分かるように、Engineering の学問化は、土木からスタートする。それが今では、電気工学、機械工学、金融工学、情報工学、生命工学、さらには人間工学なんてものまでできてきている。要は、その対象物を「うまく扱う」という需要があり、それに応えるために色々な「工学」ができてきたということである。 東浩紀が何かの対談で(相手は忘れた)、現代社会を語る上では文学でも社会学でも哲学でもなく、工学的観点が非常に重要である、というような趣旨のことを言っていた。村上さんのこの本を読むと、改めてこの東さんの発言は正鵠を射ていると感じる。だんだん人間は(例えば)「ブンガクする」対象ではなく、「Engineering」される対象になってきているのだ。
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