著者の出世作である「夏の滴」は日本ホラー大賞を受賞しているが、高く評価する人とそうではない人に別れている様だ。斬新な倫理観と猟奇性が特徴だった。作家にとって、受賞後第1作は、その実力の真価を問われる。それに相当するのが本書だ。
本書の表紙はゴミの山の様な猥雑なものだが、物語はゴミ捨て場の様なアパートの異様に汚い一室の話題から始まる。続くは汚穢に満ちた、ゴミまたゴミの描写の連続だ。さらに、清潔VS不潔といった、宗教性を帯びた物語へと続いてゆく。最後は戦闘的とまでなってくる。
何とも爽やかではない物語だが、著者は一定のメッセージを発している。
真の穢れとは、度の過ぎた潔癖だというのだ。
ある意味、なるほどと思う。
本書は不潔である事を我慢しさえすれば、
物語としてはそこそこ面白い。
しかし、卓越しているとまでは言えない。
さらに受賞後第2作に期待したい。