いやぁ、面白かったです!! 正直滑り出しの感じはちょっとどうなのとも思っていたけれど、だんだん面白くなって、特に東京から故郷に帰ってからは、脱力系笑いも含め怒涛の面白さ。なんか久々に、人生讃歌な映画を観たなぁ、って感じです。(笑)
満島ひかり。彼女をはじめて見た「愛のむきだし」の時から、もの凄いインパクトだったけれど、本作でまさに、ひとつの役を生きた彼女を見た感じ。最新作「悪人」でも殺されてしまう自己チュウ女を見事に演じきっています。
「私はどうせ中の下ですから」それまでしょうがない、しょうがないと諦めていた彼女が、「頑張らなきゃ、しょうがない」という“しょうがない”に切り替わった時の、あの心からの叫びには、まさにド迫力があった。
「開き直り」が「ヤケクソの努力」につながるコペルニクス的転回は、もはや「悟り」といっていいかも。(笑) 女がホンキになると、どんな偉大な詩人より人生を語り、ド迫力の女には、どんなにヒネたおばさん連中だってついて行くのだ。なんちゃって。(笑)
佐和子が、彼氏の連れ子の加代子(演じる子役が上手いし、変に可愛くないのがイイ)ちゃんの目線になろうとして、不自然な赤ちゃん言葉なんか使ってたのもメンドくさくなって、女同士として接し始めた時から、同志に変わります。佐和子が「どうせあんたもそれほどでもない人間なんだから」とズバッと言い放つ。「だから、頑張らなきゃしょうがないのよ」と。しかしこれって、誰一人知った人がいないという状況は、子供の方が明らかに、大人の百倍ぐらい大変なんだよね。でも、この時点で佐和子をすっかり信頼している加代子ちゃんが「判った!」と返事して保育園に飛び出していくのが、泣かせる。
ラストの佐和子の決断はやっぱりカッコ良かった。でも、この時点で彼のこと、まだ本当に好きじゃないってあたりが切ないけど。(苦笑)
この27歳の監督、短篇を始めとして数々の実績や評価を受けている人だととのことですが、実質的商業映画は本作が初。脚本も自身で書いているようです。テンポの良いセリフの応酬が繰り返される長まわしのカットは緊張感に満ち溢れ、最後まで飽きさせずに楽しませてくれた。
また、佐和子が作る木村水産の社歌は、作詞は監督自身によるものです。映画を観終わっても、しばらくこの歌が頭から離れません。脱力の中にもヤケクソ魂が詰まった強烈なもの。私は拍手喝采でしたよ。(笑)