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5つ星のうち 5.0
人生讃歌, 2010/12/8
レビュー対象商品: 川の底からこんにちは [DVD] (DVD)
いやぁ、面白かったです!! 正直滑り出しの感じはちょっとどうなのとも思っていたけれど、だんだん面白くなって、特に東京から故郷に帰ってからは、脱力系笑いも含め怒涛の面白さ。なんか久々に、人生讃歌な映画を観たなぁ、って感じです。(笑)
満島ひかり。彼女をはじめて見た「愛のむきだし」の時から、もの凄いインパクトだったけれど、本作でまさに、ひとつの役を生きた彼女を見た感じ。最新作「悪人」でも殺されてしまう自己チュウ女を見事に演じきっています。
「私はどうせ中の下ですから」それまでしょうがない、しょうがないと諦めていた彼女が、「頑張らなきゃ、しょうがない」という“しょうがない”に切り替わった時の、あの心からの叫びには、まさにド迫力があった。
「開き直り」が「ヤケクソの努力」につながるコペルニクス的転回は、もはや「悟り」といっていいかも。(笑) 女がホンキになると、どんな偉大な詩人より人生を語り、ド迫力の女には、どんなにヒネたおばさん連中だってついて行くのだ。なんちゃって。(笑)
佐和子が、彼氏の連れ子の加代子(演じる子役が上手いし、変に可愛くないのがイイ)ちゃんの目線になろうとして、不自然な赤ちゃん言葉なんか使ってたのもメンドくさくなって、女同士として接し始めた時から、同志に変わります。佐和子が「どうせあんたもそれほどでもない人間なんだから」とズバッと言い放つ。「だから、頑張らなきゃしょうがないのよ」と。しかしこれって、誰一人知った人がいないという状況は、子供の方が明らかに、大人の百倍ぐらい大変なんだよね。でも、この時点で佐和子をすっかり信頼している加代子ちゃんが「判った!」と返事して保育園に飛び出していくのが、泣かせる。
ラストの佐和子の決断はやっぱりカッコ良かった。でも、この時点で彼のこと、まだ本当に好きじゃないってあたりが切ないけど。(苦笑)
この27歳の監督、短篇を始めとして数々の実績や評価を受けている人だととのことですが、実質的商業映画は本作が初。脚本も自身で書いているようです。テンポの良いセリフの応酬が繰り返される長まわしのカットは緊張感に満ち溢れ、最後まで飽きさせずに楽しませてくれた。
また、佐和子が作る木村水産の社歌は、作詞は監督自身によるものです。映画を観終わっても、しばらくこの歌が頭から離れません。脱力の中にもヤケクソ魂が詰まった強烈なもの。私は拍手喝采でしたよ。(笑)
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5つ星のうち 5.0
なぜ一部の映画館でしかやらなかったのか?, 2010/12/26
レビュー対象商品: 川の底からこんにちは [DVD] (DVD)
満島ひかりにとって「愛のむき出し」以上に彼女らしい映画かもしれない。
すべての言葉、呼吸までも彼女にしかできないという感じさえしてくる。
そして、もう一人すごかったのが子役の相原綺羅。
本当に「可愛すぎない」子役だった。こういう役者、大好きだ。
ほかの出演者も、うまくはなくても、精いっぱいの演技で花を添えている。
岩松了も相変わらず、いいなあ。
おばちゃんたちのパワーもすごかった。
着替えのシーンはあまり見たくなかったけど。
満島ひかりは着実にうまくなっている。
このような作品に出ることで、メジャー作品以上のものを得ている。
このペースで歩いて欲しい。
満島と石井裕也監督、
かなり気合入ってるなと思ったら、そういうことだったんですね。
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5つ星のうち 5.0
監督の感性…, 2011/10/26
レビュー対象商品: 川の底からこんにちは [DVD] (DVD)
主人公はダメなOL。
常に「自分は中の下」とか「しょうがないから頑張る」とか言ってるような、とにかくダメな奴。
もはやネガティブですらない、ただ無気力なだけの人間。
ある時、実家の「しじみ工場」の社長(父親)がもう長くはないことを知らされ、成り行きから後を継ぐことになります。
「しょうがない」からとりあえず。
そしてその主人公が、従業員のおばちゃん達にいびられながらも、次第に奮闘し、やがて成長していくというストーリー。
いたってシンプルなんです。
ただ、この映画、とってもユーモアに満ちているんです。
石井裕也という監督のユニークな感性に包まれているんです。
例えば。
この映画にはとびきりの美人も美男も出てきません。
みんな「中の下」みたいな人ばかりです。
たぶんそれが「普通」だからです。
ただ、ここに登場する人達には「覚悟」があるんです。
自分が「中の下」であることをちゃんと知ってて、それを受け入れて、腹くくって一生懸命生きてこうとするんです。
いきなりみんなで「社歌」なんかを歌い出したりして、その様はとても滑稽に描かれてはいるんですが、
「ごちゃごちゃ言ってたってしょうがないじゃん。とにかく頑張ろうよ」
というスタンスが、何だか格好良くもあり、また勇ましくもあるんです。
その姿はさながら「しじみ」のように、川底に這いつくばって必死に生きてるようです。
だけどそれが美しいんです。
必死だけどとても軽やかで清々しく、
そして愛おしいんです。
例えば。
こんなシーンがあります。
ストーリー前半、主人公は「腸内洗浄」へ行きます。「どん詰まり」な人生を象徴するかのようなシーンです。
それから、実家の便所がいわゆる「旧式」のやつで、主人公が汲み取って畑に肥料として撒くシーン。
しかもそれで花が咲くっていう… ラストへの予兆としてのこういうユーモア、なんだか好です。
あと、泥や小石を落とすために「しじみ」が工場のラインで「洗浄」され、そして出荷されていくシーン。
これなんかも主人公とすごく重なります。
心の底に溜まった澱のようなものが体内から浄化されていく様が、とてもシンボリックに描かれているんです。
まぁこういうピックアップの仕方をすると何が何だか分からないかもしれませんが、
とにかくこの映画は、こういう監督のユニークな感性に満ちあふれているんです。
それがお洒落過ぎてなくて、何て言うか、すごく庶民的で良いんです。
なんだかみんな「しじみ」みたいで。
だから是非、登場人物たちの「しじみっぷり」を観てほしいです。
今日からは、「川の底からこんにちは」って感じで、「しじみ」になったつもりで生きてみよう。
映画見終わったらなんだかそんな気分でした。