不朽の名作に相応しい内容でした。登場人物らのネーミングを大胆にアレンジし、日本人にも読みやすい文体は、どこか、歌舞伎や時代劇を想わせながらも、外国の雰囲気もしっかり押さえている点は、さすが、涙香といったところでしょうか。本書は、原作が外国作品でありながらも、日本語の豊かさ美しさを再認識させつつも、勧善懲悪、因果応報、複雑な人間関係を、さながら探偵小説の犯人探しのごとく、解き明かしてゆく醍醐味と面白さを堪能できました。字体も大きめなので読みやすいのも良かったと思います。個人的には、野西武之介ことアルベール・ド・モルセールのいいなずけ、ユージェニーの名前が、夕蝉となっているのがピッタリで、響きといい、気に入っています。