寒風吹きすさぶヨークシャーにそびえる〈嵐が丘〉の屋敷。その主人に拾われたヒースクリフは、屋敷の娘キャサリンに焦がれながら、若主人の虐待を耐え忍んできた。そんな彼にもたらされたキャサリンの結婚話。絶望に打ちひしがれて屋敷を去ったヒースクリフは、やがて莫大な富を得、復讐に燃えて戻ってきた……。一世紀半にわたって世界の女性を虜にした恋愛小説の“新世紀決定版”。
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おまえを忘れるぐらいなら、自分が生きてることすら忘れちまうさ……か。
できの悪い高校生の訳、そのものでしょう。
死んで安らかに眠ることを『のうのうとしている』と訳すのですか? 内容を理解していないから、こんなガサツな日本語訳をしてしまうのですね。
ちなみに、この部分は河野一郎(中央公論・世界の文学コレクション)は次のように訳しています。
『きみのことだけはどんあことがあっても忘れないってことも、知ってるはずだ! きみが平和に眠っている間に、僕は地獄の苦しみに身もだえしなきゃならないと思えば、いくらわがまま勝手なきみだって満足だろうが?』
この他に、ネリーがロックウッドに向かって「こらこら」(P693)と言ってみたり(使用人が主人に向かって「こらこら」などとは絶対に言わない。原文は、「No, Mr Lockwood」。
死に別れを生き別れと訳してしまって意味を通じなくしていたりと、鴻巣訳の『嵐が丘』は最近では珍しいほどの、誤訳、悪訳、下手訳に満ちている。何よりも、この訳者の日本語への思い入れの欠如、要するに言葉へのガサツな態度には呆れ返るしかない。
指摘した誤訳部分はほんの一部であり、グレイゾーンのおかしな訳は何百とある。
この新潮社文庫の『嵐が丘』を読むと、鴻巣友季子によって捻じ曲げられてしまったトンデモナイいびつな『嵐が丘』を経験してしまうことになる。
鴻巣友季子以前の訳者による訳本は、どれもマトモであるから、読者は是非ともそうした訳本を手にするように注意すべきである。
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