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崖っぷち (創造するラテンアメリカ)
 
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崖っぷち (創造するラテンアメリカ) [単行本(ソフトカバー)]

フェルナンド・バジェホ , 久野量一
5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (2件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

死と暴力に満ちたどうしようもない世界に、途轍もない言葉の力でたったひとり立ち向かう。2003年ロムロ・ガジェゴス賞受賞作。

著者について

1942年、コロンビアのアンティオキア州の州都メデジンに生まれる。
父は有力な政治家。大学で哲学、そして生物学を修めた後、イタリアに留学して映画を学んだ。70~80年代にかけて3本の長篇映画を撮っている。
少年時代を描いた『碧き日々』で小説家デビューし、その後も自伝的要素の強い作品が続く。
1994年にはシカリオ物『暗殺者の聖母』を刊行。この作品が映画化された影響もあり、欧米など国外でも広く知られる作家となった。
2001年刊行の本書『崖っぷち』によって、ロムロ・ガジェゴス賞を受賞(2003年)。
あらゆる既成の価値観を容赦なく否定する作品群によって「ラテンアメリカでもっとも挑発的な作家」と呼ばれている。

登録情報

  • 単行本(ソフトカバー): 212ページ
  • 出版社: 松籟社 (2011/12/8)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4879842982
  • ISBN-13: 978-4879842985
  • 発売日: 2011/12/8
  • 商品の寸法: 18.6 x 12.8 x 1.8 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (2件のカスタマーレビュー)
  • Amazon ベストセラー商品ランキング: 本 - 554,853位 (本のベストセラーを見る)
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最も参考になったカスタマーレビュー
2 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
買いです。 2012/4/28
 エンリケ・ビラ・マタスやロベルト・ボラーニョもその名を連ねるロムロ・ガジェゴス賞という言葉に惹かれて読みました。ただ、コロンビアの現実と言われても、本書に出てくるメデジンと言われてメデジン・カルテルで止まっている程度の知識しか持ち合わせておりませんので、はなはだ心もとなくもありますが、2001年の作品なので、そのへんは正直どうなんでしょう。
 あらゆるものに対する罵詈雑言に溢れる本書は、そういったコロンビアの過酷な現実と対峙するためか、メタ・リアリズムという言葉を当てたくなる作品になっています。したがって、現実味を失ってしまうほど、個々の表現や感情は突き抜けているのですが、表現や言い回しが巧みなので、慣れれば意外に笑えます。
 「無意識と無良心こそが幸福になるための必須条件。」(P34)といった類いの言葉も多く見受けられるものの、解説にある「一度愛したからこそ」ということ以上に、汚い言葉の割に本質的に元々ソリが合わないとかではなく、弟や父が亡くなったいまも家族の繋がりや絆が全編からしっかり伝わってくるような気がします。ただ、それらの死を含む現実が受け入れられないため、こういった表現やラストに帰結しているという印象を受ける作品でした。
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コロンビアの作家フェルナンド・バジェホによる、2001年発表の作品です。
この作品を語るにあたっては、コロンビアという国の現在の状況を無視することはできません。腐敗と、堕落と、悪徳と、混乱と、倦怠と、疲弊と、退廃の国コロンビア。語り手は祖国コロンビアと家族に緊縛されて、虚無と死に脅かされ、生への失望に捉えられ、彼の生きる縁は死の床にある父親と弟への愛情、祖母との幼時の幸福な記憶ばかりです。しかし、そんな崖っぷちにあってさえ、彼から生の揺動が喪われることはありません。虚無と死に脅かされてなお、寧ろ脅かされてこそ力感を増す生の蠕動。呪詛、慨嘆、憤怒、失望の声、紛れもない生の声が、途切れることなく全編から聞こえてきます。
バジェホはラテンアメリカで最も挑発的な作家と呼ばれているようですが、その文章は決して稚拙な叫喚といったものではなく、諸々の修辞技法を駆使して成されており、どこか詩的なところさえ感じさせます。しかし惜しむらくは、原典では顕著であろうその生気が、翻訳者氏の労苦は察するのですが、翻訳によっていくらか殺がれてしまっている点です。
コロンビアの混乱のさなかにあっても調和を描き得るガブリエル・ガルシア=マルケスと、混乱への沈溺を描かざるを得ないバジェホとでは、作品の表層上では著しい対照を見せています。しかし、バジェホの挑発的な作品世界にあっても、表層から離れて作品の深くに沈潜したところには、生の静寂とも呼び得るものが満ちており、それはガルシア=マルケスの作品と共通したものなのです。生の深淵を描ききったものこそが優れた文芸作品なのですから、それは驚くことではないのでしょう。しかし願わくは、生の深淵のより深くへと沈潜しての声が聞きたかったと思うのです、負への指向の窮極が正へ転じるところに立つ声を、それ自体が沈黙であるような声を、ルイ=フェルディナン・セリーヌのような。
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