日経ビジネス
強いリーダー不在の現代人へ
薩摩島津を率いた戦国末期の猛将、島津義弘を通じて、混迷の時代におけるリーダーシップ像を描く著者4年ぶりの新作小説。
薩摩島津を率いた戦国末期の猛将、島津義弘を通じて、混迷の時代におけるリーダーシップ像を描く著者4年ぶりの新作小説。
関ケ原の戦いで西軍についた諸家のうち、戦後、領地を安堵あんどされたのは島津家のみである。西軍大崩れのなか、義弘はわずかな手勢を率いて東軍包囲網を突破して、領国への総退却を演じる。敵本陣の目前に迫り、家康の心胆を寒からしめた退却戦は、天下人をして「島津触れるべからず」という強烈な印象を植えつけた。
その猛将ぶりにも増して際立つのが義弘の知謀だ。太閤秀吉の死から関ケ原の戦いまでの目まぐるしい時勢変化を、独自の情報網を駆使して正確に読み、手を打っていく。意に反して西軍に組み込まれ、負け戦を覚悟した後も、最後まで生き残りを模索し続ける。
「悪は為なしてこそ悪、為さざるは罪なしというのは常人のことだ。かりそめにも人の上に立つ者は、誤りを見過ごせば、それのみで悪である」。義弘が国元にあって無為無策の兄・義久を冷たく突き放すセリフである。行間には、この国難にあってなすすべのない現代日本のリーダーたちへの著者の強い憤りがにじみ出ている。
(日経ビジネス1999/3/8号 Copyright©日経BP社.All rights reserved.)
内容(「BOOK」データベースより)
慶長五年、関ヶ原合戦。敗色濃厚な西軍に与しながら薩摩島津だけがなぜ領国を守り抜けたのか。薩摩の太守・島津義弘、ときに六十六歳。九州制覇、七年に及ぶ文禄・慶長ノ役、戦さの一字に刻まれた彼の後半生に寧日はなかった。百二十年余もつづいた戦時景気はしぼみ、未曾有の戦後不況が猛威をふるう前夜。日本が東と西にわかれ、戦国期最後にして最大の、生き残りをかけた大戦がいままさに火蓋を切らんとしていた―。著者畢生の大作と呼ぶにふさわしい歴史巨編。
内容(「MARC」データベースより)
天下分け目の関ケ原で心ならずも敗色濃厚な西軍に組み入れられた薩摩の太守・島津義弘は、いかなる戦略・政略で勝者から領地を守ったのか。歴史・時代小説の白眉。