関ケ原の戦いで西軍についた諸家のうち、戦後、領地を安堵あんどされたのは島津家のみである。西軍大崩れのなか、義弘はわずかな手勢を率いて東軍包囲網を突破して、領国への総退却を演じる。敵本陣の目前に迫り、家康の心胆を寒からしめた退却戦は、天下人をして「島津触れるべからず」という強烈な印象を植えつけた。
その猛将ぶりにも増して際立つのが義弘の知謀だ。太閤秀吉の死から関ケ原の戦いまでの目まぐるしい時勢変化を、独自の情報網を駆使して正確に読み、手を打っていく。意に反して西軍に組み込まれ、負け戦を覚悟した後も、最後まで生き残りを模索し続ける。
「悪は為なしてこそ悪、為さざるは罪なしというのは常人のことだ。かりそめにも人の上に立つ者は、誤りを見過ごせば、それのみで悪である」。義弘が国元にあって無為無策の兄・義久を冷たく突き放すセリフである。行間には、この国難にあってなすすべのない現代日本のリーダーたちへの著者の強い憤りがにじみ出ている。
(日経ビジネス1999/3/8号 Copyright日経BP社.All rights reserved.)
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5つ星のうち 5.0
チェスト!,
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レビュー対象商品: 島津奔る〈上巻〉 (単行本)
エピローグの中馬大蔵の記述が印象深い。このエピソードは司馬遼太郎や他の作家でも見た覚えがあるが 何故泣く?と、しか感じえず、まったく理解し切れなかった。 池宮氏の描写により「さては、関っが原と申すは・・・」から 滂沱の涙に至り、若い衆が感激したと解散するまでの表現の リズムとタイミングが秀逸であり、何度読み返しても涙を禁じえない。 おそらくは読むスピードと理解のタイミングが私には ぴったりはまったことゆえと思われるが、天才を描く池宮氏の 筆の作品の中でも、私の中のベストとしてお勧めしたいです。
5つ星のうち 4.0
腹を決めた生き方,
By ドラゴン8 (東京都) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 島津奔る〈上巻〉 (単行本)
島津側から関ヶ原を描写し、しかもダイナミックな描写に思わず引き込まれました。島津(薩摩)武士の腹の決まった生き方に共感を覚えました。その生き方=ありようが、倒幕(明治維新)にまで受け継がれていたのだと思います。 ただ、他の作家との類似点が指摘され絶版になっているのは本当に残念ですが。
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