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峠 (中巻) (新潮文庫)
 
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峠 (中巻) (新潮文庫) [文庫]

司馬 遼太郎
5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (10件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

出版社/著者からの内容紹介

幕府にも官軍にも与せず小藩の中正独立を守ろうとした男の信念!

旅から帰った河井継之助は、長岡藩に戻って重職に就き、洋式の新しい銃器を購入して富国強兵に努めるなど藩政改革に乗り出す。ちょうどそのとき、京から大政奉還の報せが届いた。家康の幕将だった牧野家の節を守るため上方に参りたいという藩主の意向を汲んだ河井は、そのお供をし、多数の藩士を従えて京へ向う。風雲急を告げるなか、一藩士だった彼は家老に抜擢されることになった。


登録情報

  • 文庫: 571ページ
  • 出版社: 新潮社; 改版 (2003/10)
  • ISBN-10: 4101152411
  • ISBN-13: 978-4101152417
  • 発売日: 2003/10
  • 商品の寸法: 15 x 10.8 x 2.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (10件のカスタマーレビュー)
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形式:文庫
 上巻では、100石取りの一長岡藩士でしかなっかった継之助が家老に抜擢され、京都、大坂、江戸、横浜を舞台に活躍していく。

 中巻で一番印象に残ったのが福沢諭吉との出会い。
 福沢と継之助は似ている。侍の時代が終わると予言していたこと、封建制度の限界を感じていたことなどがそれだ。
 これほど似ている二人なのに、同じ結論に到達できなかった。福沢は「幕府が勝とうが、薩長が勝とうがどちらでもいい」という結論だった。しかし、継之助は、「私は長岡藩の家老で、長岡藩の独立を守らなければいけない」という結論だった。

 「人は立場で生きている」
 と継之助は言った。

 もし、継之助が福沢の立場だったら、もし、坂本竜馬のように浪人の立場だったら今の日本はどうなっていただろうか。
 そう考え巡らすと歴史は面白いなと、思う

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6 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
中巻では河合継之助が藩政をあずかり、戦乱に巻き込まれていく越後藩をどのように
動かしていくかが描かれています。

その中で興味深いのが継之助の政治観。

当時の諸藩はその時勢にのっている側につく、といったその場その場でものを考える
ところが多かったようですが、継之助はむやみに人に語りはしませんが明確なvisionを
もち藩政にあたっていました。

その政治観は現代を生きる私達も大いに学ぶところがあるのではないでしょうか?

また武士の美的精神もところどころに垣間見ることができます。

もちろんそれは河合継之助流の美的感覚で当時の武士が必ずそうであったかは
わかりません。

江戸末期は混迷の時代でしたが、現在も変革が激しく難しい時代です。
ただ流されて生きるのは簡単ですが、情報があふれかえっている時代の中で、
どう決断し何のために生きて行くのか、そういった私達が生きるうえで重要なものとは
何かをこの小説は私達に示唆しています。

本当にお勧めです。

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2 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
人間万事、いざ行動しようとすれば、
相容れぬ原則が前後左右に矛盾として取り囲んでくる。
この場合の判断は容易にできぬ。
大は天下のことから、小は嫁姑の事に至るまで、全てこの矛盾に満ちている。
その矛盾に、即決対処できる人間になるのがおれの学問の道だ。
即決対処できるには、己の原則を創り出さねばならない。
その原則さえあれば、原則に照らして矛盾の解決ができる。

色恋もまた、俺を練磨する道だ。
惚れるということとは違う。どことなく対決の匂いがある。
鉄が鉄を打って火花を飛び散らせるような、
または、剣客が他の剣客と見えることによって、自分の道業を深めようとするような。
おぬしとおれは生命の付き合いだ。惚れてはいない。
思想をもった一個の霊が、生命を所有している。
生命は道具である。道具が好いている間は問題ない。
道具同士の付き合いにすぎぬ。
惚れると、道具の持ち主の霊までが戦慄する。
霊まで戦慄してしまえば、志は消し飛んでしまう。

京と、東の方では発想習慣が違う。
京では、口と頭が無連絡である。心にもなくても会話だけが独立している。
会話だけで社交が成立し、多くの場合は本音ではない。
会話は相手との情緒を和らげるためにのみ存在する。
が、京より東の方では、常にその会話は本音である。
常に正気で言い、その会話は常に論理的であった。

継ノ助は、生涯で最も充実した日々でございましたと答えた。
世辞ではなかった。が、方谷は忙しくて、継ノ助の相手になったことはなかった。
ただ、継ノ助は観察した。
ひたすらに方谷を観察し続けた。
その観察が充実しきったものだった、と継ノ助は言ったのである。

事を行うとき何よりも知るということが大事だ。
大政奉還という様子が明らかになった時、その機をとらえて、やる。
徳川家や牧野家が滅びるか生きるかのときだから、
どんな手術や苦い薬も人は甘受する。
政治とは機をみることだ。

古来、天変地異は運命につき凶か吉かの予告をするという。
悪いことの起きる兆しなものか。そういう馬鹿なことはない。
天象が、地上の政治を支配するとは思っていない。
太陽には、太陽そのものの事情があって緑色になったのであろう。

兵馬の精強なくして、一藩の正義なく、独立なく、自尊なし。
武力が充実していてこそ、言うべきことが言え、相手の理不尽を抑えることができ、
正義を吐くこともできる。
武力がなければ、ならず者に踏みいられて、震え上がっている婦女子も同然である。

人はその長ずるところをもって全ての物事を解釈してはいけない。
必ずことを誤る。その長ずるところが使えないために、
心が鬱屈し、使おうとして、時勢観察まで自分に都合よく曲げ、
都合の悪い材料には目をつぶり、
ひたすらにそれを使おうとする。

この男にとって何よりも嫌いなものは涙であった。
涙という、どちらかといえば自己の感情に甘ったれたもので、
難事が解決できたことは古来ない。
一藩を宰領してゆくのは、涙ではない。乾ききった理性である。
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