岸部四郎の衒いの無い正直な文体というか語り口が大好きで、これまで対談本を含め数冊読んできた。今回は自己破産直後に出された『金融地獄』と、その2年前に出された本書を、同時進行で(1章ずつ交互に)読んでみた。
自己破産前の本書にも、何箇所か「金策に困って処分した」というような記述があり、既に後年のカタストロフを匂わせている。
岸部四郎の広範囲に亘るコレクションとそれにまつわる思い出を、いかにも楽しそうにアレコレ語った文章だが、マニアックに流れすぎず、適度に素人臭い点が良い。古書、ブリキ玩具、絵画、骨董、ジーンズ、ギター等等、非常にコレクションの幅が広く、「これじゃ、破産するのも無理ないわ」と思わされる。彼の破産告白本とセットで読むとまた、感慨ひとしおである。
写真は巻頭に4ページだけカラーのものがあるが、他は全て白黒の小さい写真だが、意外と写りは良く、本文理解に十分役立った。