アメリカ大陸古代文明辞典と銘打ちながら、北米については、かろうじてフォルサム、クローヴィスなどの石器文化と代表的な諸文化の解説、世界遺産になった遺跡をカバーしているという感じであって不十分な感を否めない。お名前を掲げるのははばかられるので控えるが北米については、国内にも専門とする研究者が数名おられるのになぜ執筆をお願いできなかったのか残念である。しかし、中米部分については、担当著者の持ち味が十分に発揮され、グアテマラ・ペテシュバトゥン地方の遺跡の情報はもちろん、国内で初めてラ・ミルパやエク・バラムなどの遺跡の最新の調査成果が紹介されていることが特筆される。また、中南米古代文明全体を見通す上で欠かせない用語編は共著者両名の意気込みを感じさせる非常に有益なものであり、中南米古代文明の情報をコンパクトに提供するというこの種の辞典の目的を十分に達している点で優れている。