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岩伍覚え書 (集英社文庫 み 9-1)
 
 

岩伍覚え書 (集英社文庫 み 9-1) [文庫]

宮尾 登美子
5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

出版社/著者からの内容紹介

高知市緑町を皮切りに、40年近く芸妓や娼妓の紹介業を営んできた富田岩伍…。詐欺師、博奕打ち、興業師を相手に命を張って生きる女衒の世界を、重厚な文体と緻密な筆で描く。(解説・篠田一士)

内容(「BOOK」データベースより)

絢爛華麗さの裏に貧困、暴力、犯罪が渦巻いている高知の遊郭を舞台に、人助けの信念を貫き、娼妓紹介業を営んできた富田岩伍。生きるギリギリの手段として、また前渡し金を騙しとろうと企んで、「身売り」の世界におぼれていく男女の哀しくもたくましい「生」を、大正末期から昭和十年代までの時代背景とともに岩伍の透徹したまなざしで描いていく―。宮尾文学の原点といえる名作中の名作。 --このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。

登録情報

  • 文庫: 264ページ
  • 出版社: 集英社 (1979/9/20)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4087502600
  • ISBN-13: 978-4087502602
  • 発売日: 1979/9/20
  • 商品の寸法: 15 x 10.4 x 1.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
  • Amazon ベストセラー商品ランキング: 本 - 130,874位 (本のベストセラーを見る)
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By Doll
形式:文庫
著者がモデルである綾子の父・岩伍の回想録です。
今までの作品を読んで、岩伍の人となりをある程度理解してから
でないと、分かりづらいかもしれませんが、当時の高知の様子、
紹介業、そしてお金がからむ人間のいやらしさはよく表されている
と思います。
このレビューは参考になりましたか?
3 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
女衒の語り 2009/12/24
形式:文庫
宮尾登美子が高知を舞台とした自伝小説「櫂」→「寒椿」に至る五つの作品の中に出てくる岩伍は、登美子の父がモデルで、芸妓、娼妓紹介業を営んでいた。今では死語である世にいう女衒である。

本書はその父が丹念につけていた14冊の日記と、営業日誌を元にして話を作ったもので、岩伍の語りとして四つの短編よりなる。

芸者の紹介という世間からはまともに見られない職業だが、本人はいささかも悪びれず、貧乏な人達を救うという信念で行動しており、紹介先の妓楼に対する信義も厚い。

登美子の幼少時の話であり、断片的おぼろげな記憶もあろうのに、書くにあたり今は無き花柳界のしきたりなど恐ろしく詳しく調べたものだ。退廃的な世界の中でも変わらぬ人間の生き方が細やかに描かれ感動する。

これら作者の基部をなす作品群で未読は、あと「菊籬」「寒椿」を残している。若いころ題名を見ただけで敬遠していた作家だが、テレビドラマがきっかけで「天璋院篤姫」より読みだして昨年より13冊。どれもだれた所がないのに毎回驚かされている。
このレビューは参考になりましたか?
形式:文庫
宮尾登美子は多くの小説・エッセイを書いているが、彼女の創作の軸になっているのは自伝的小説群…「櫂」「春燈」「朱夏」「仁淀川」だと思う。映画でも有名な「鬼流院花子の生涯」も、同時代の高知を舞台としていて、時代設定は重なる部分が多い。
そうした彼女の自伝的小説を考えると、必然的にヒロイン(綾子=宮尾本人)の父・岩伍と育ての母・喜和が大きなウェイトを占める。宮尾の前半生はこの強烈な影響力を持つ父母との関わりの中でどのように自己を作り上げるかが課題だったと思う。特に父・岩伍には愛憎複合した感情を持っていたと思う。宮尾文学はこの「父」との関わりが大きなテーマの一つだと思う。

そうした意味では、岩伍の回想という形で自ら語るこの短編集は、富田岩伍(ひいては現実の宮尾の父、岸田猛吾)の全体像をとらえ理解する上で重要だと思う。自伝的小説群にはないエピソードも書かれており、また父本人の視点から様々な出来事を再度見ることができる。自ら誇りを持っていた「芸妓・娼妓紹介業」に対し、岩伍がどう考えていたのか、どのように仕事をしているのかもわかる。

この本は、宮尾文学を理解するうえで貴重であるとともに、映像化された彼女の作品群(五社英雄監督の「櫂」「鬼流院花子の生涯」、NHKドラマの「春燈」「櫂」、降旗監督の「寒椿」等)の背景を知る上でも重要だと思う。
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