着物好きだが、普段も着たり高級な生地のものを着こなしたり…というほどではない。意外だったのは、そういう私にとって実に実用的な本であるということ。
岩下さんの着物は「女優の着物」であって「着物巧者の心を惹きつける」ような蘊蓄はなく「着物通には不向きかもしれない」と、本文にもある。これが、「たまのハレの日や外国人と接するときにしか着ない」し「あまり高級なものは着こなせるか不安」な、初級の人間にはとっても参考になる。岩下さんがそれぞれの着物を選んだときの大きな理由が、色と柄であるところが、ビジュアルにわかりやすいのだろうか。初級者が洋装とは違う「着物ならではの」色の組み合わせを実現するのに、これほど役に立った本はない。下手な「初心者向けムック」を何冊も買っても、その初心者イメージが嫌で捨てることが多かったが、この本なら1冊で事足りてしまう。
もちろん実用的な価値だけでなく、岩下志麻さんの魅力と着物の魅力の両方をじっくり堪能することもできて、大満足。