「成人参り」という通過儀礼を行っていた郷木家の四男・晴美は、
道に迷い、忌み山として恐れられている乎山に迷い込んでしまう。
そこで、さまざまな怪異に見舞われた晴美は、
ほうほうのていで、山の一軒家にたどり着く。
その家には、郷木家と山林境界地のことで対立し
ていていた、鍛炭家に連なる家族が暮らしていた。
ところが翌朝、晴美が目を覚ますと、その一家は全員、
朝食を食べかけの状態にして、忽然と姿を消していた。
そうした、不可解な出来事が綴られた晴美の手記を読んだ刀城言耶は、
早速現地を訪れるのだが、そこで彼を待っていたのは、六地蔵の童唄に
見立てられた連続殺人だった……。
マリー・セレスト号事件を彷彿させる一家消失や童謡見立て殺人、顔のない死体
と人間入れ替わり、そして密室など、本格ミステリの趣向やガジェットがふんだん
に盛り込まれ、それを作者一流のホラー・センスによって、サンプリングした本作。
関係者を前に、事件の絵解きをしながら、同時に仮説の上書きをしていくという
刀城言耶独特の探偵法は、本作でも健在ですが、そうした、あくまで理性的な
推理の試行錯誤が、逆に怪異を招き寄せているような印象も否めません。
とはいえ、犯人特定に至る論理展開には、いっさい淀みはなく、特に、クイーンの
某作の
××××を援用したロジックには、作者の本格ミステリに対するオマージュを感じました。