1巻、2巻が同時に発売された。
さらに今後も続巻が出ることであろう。
埼玉県秩父地方を中心に「味」「技」というカテゴリーで
各巻35話からなる。
心温まるイラストで山里の人々の顔が描かれる。
そして後半部分では写真と文章で詳細に山里暮らしの記憶が綴られていく。
歩く巨人と言われた民俗学者の宮本常一は日本全国を歩き、ハーフタイプの写真で民具、民衆、風俗を撮り、さらに古老や名も無き人々の話を詳細に記録し、忘れられた日本人や風習を後世に伝えた。
ある地域限定という文脈で言えば、徳山村の増山たづ子はピッカリコニカで村を記憶した。大西 暢夫監督は同じく徳山村を水になった村として写真と文章、そして映画で記憶していった。
イラストという分野では本山賢司が自然や動物を文章とともに本にしている。
本書を民俗学的著作と書くと著者が怒るかもしれないが、僕は本書の中に宮本常一の影を見てしまう。そして秩父という地域に集中したことで、より濃厚な文化歴史を、そして人の生き様を見せてもらった。
最後に思う。
記憶にしてはいけないのだと、文化や風習を効率とか効果、そして経済性という文脈だけで捨て去る事が実は人間の潜在能力を劣化させるということを本書は教えているように思う。
受け継いでいかねばいけないのだと。