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そして、身体の衰えを感じ、日雇いを続けられるのもあと数年となって、思うようにならなかった自分の人生を振り返り、山谷での生活を静かに見つめたのが本書である。ドキュメントでもなくルポでもない。強いて言えばエッセイだが、誰かに読ませる目的を持って書かれたものではない。自分が自分のために書いた、という意味でまさに「日記」である。
著者は、不遇であった自分の人生と「折り合い」をつけた、という。不遇を誰かのせいにして恨むこともなく、社会や政治を罵倒することもなく、自分自身を責めたり後悔したりすることもない。ただ、ただ静かである。この諦観こそが本書のいちばん大きな魅力だと思う。こういう本に出会うと、勢古浩爾氏がいう「思想なんていらない生活」というのがよくわかる気がする。いわゆる思想はないが、ここには確かに、深い人生がある。
5年前、2000年に開高健賞を受賞した後、他に作品は発表していないようだ。大山氏にとって文学賞受賞の栄誉もインテリ作家生活も大きな意味はもたないのだろう。自分の人生と折り合いがついている、という言葉の重みを感じる。
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