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この時代、そして自然に生きる人間たちのからだと言葉から、凄みが伝わってくる。ついこの前の時代なのに、もはや失われようとしている種類の人間たち。そこには厳しい自然に鍛えられた強靭な肉体と意志、そして心の温さ、素直さと、畏怖の念がある。
1958年生まれの作者だが、風俗から、人間の内面にまでいたる細かい筆致は、見事な記録文学といってもおかしくない。硬質な文体の中に浮かび上がる登場人物たちの生き生きとした姿に、、自然の中に生きる人間への憧憬と愛情をかきたてられた。
熊谷達也のデビュー作「ウエンカムイの爪」は、フレッシュな面もあったが、中盤のたるみ等、まだまだという感じがあった。しかしこれは違った。描写の緻密さ、浮き上がる人物像、「失われた、自然と人間との関係・闘い」というテーマの普遍性、唸る事しばしば。たった四年ほどで作家というものはこれほどまでに成長するのだ、と嫉妬さえ覚えた。
特に私は『潜りさま』『メリィ』『川崎船』がお気に入り。
同賞を受賞した作品のすべてを読んだわけではないが、
久々に読み応えある作品にめぐり合えた、という満足感がのこる。
ストーリー展開やモチーフの面白さはもちろん秀逸。
しかし、それだけにとどまらない、あくまでも人間に焦点をあてた物語展開、どんどん主人公の生き方にひきこまれていく。山本賞にふさわしい作品だと心から納得。
しかし,読んでいくにつれ,... 続きを読む
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