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山椒魚 (新潮文庫)
 
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山椒魚 (新潮文庫) [文庫]

井伏 鱒二
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

老成と若さの不思議な混淆、これを貫くのは豊かな詩精神。飄々として明るく踉々として暗い。本書は初期の短編より代表作を収める短編集である。岩屋の中に棲んでいるうちに体が大きくなり、外へ出られなくなった山椒魚の狼狽、かなしみのさまをユーモラスに描く処女作『山椒魚』、大空への旅の誘いを抒情的に描いた『屋根の上のサワン』ほか、『朽助のいる谷間』など12編。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

井伏 鱒二
1898‐1993。広島県生れ。本名、満寿二。中学時代は画家を志したが、長兄のすすめで志望を文学に変え、1917(大正6)年早大予科に進む。’29(昭和4)年「山椒魚」等で文壇に登場。’38年「ジョン万次郎漂流記」で直木賞を、’50年「本日休診」他により読売文学賞を、’66年には「黒い雨」で野間文芸賞を受けるなど、受賞多数。’66年、文化勲章受章(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 文庫: 297ページ
  • 出版社: 新潮社; 改版 (1948/1/19)
  • ISBN-10: 4101034028
  • ISBN-13: 978-4101034027
  • 発売日: 1948/1/19
  • 商品の寸法: 15 x 10.6 x 1.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (10件のカスタマーレビュー)
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最も参考になったカスタマーレビュー
16 人中、13人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
手頃な短編集 2006/2/14
形式:文庫
「山椒魚」(幽閉)は、若き太宰治をして「埋もれたる天才」と評せしめた小品。その佇まいは飄々としながら屈託している、独特のユーモアのなかに含羞がある。それは「山椒魚」に限られない、井伏鱒二その人の佇まいである。

氏は生前、詩人と呼ばれることを非常に悦んだという(河盛好蔵「人と作品 詩人井伏鱒二」井伏鱒二『厄除け詩集』講談社文芸文庫113頁)。その反面、自らの詩については「詩のような形」で書いた、というはにかんだ言い方でこたえている(大岡信「こんこん出やれ―井伏鱒二の詩について」同138頁)。むぅ。井伏作品の読後感のように、なんともいえない微笑みが、思わず漏れ出てくる。

井伏氏には拭い難い厭世癖があった。それを受け容れる寛容さがあった。氏の作品中には、善人ばかりが出てくるわけではない、かといって、極悪人が出てくるわけでもない。しかしどの人物もなぜだか実にほほ笑ましく見えてしまう。一種のノスタルジーがそうさせるのかもしれないけれど、過去を美化したり否定するようなズカズカとしたノスタルジーなどでは決してない。厭世癖は、あくまで厭世癖であった。世の中を軽蔑しきれなかった。冷ややかな現実観察には常に温かさがまとわりついていた。

この『山椒魚』には、短編の代表作が収録されている。ただ、「鯉」は収録されていない。それは岩波文庫版を参照されたい。己のなかに厭世癖を感じ取る人、何気ない温もりが嫌いでない人、井伏作品を読んだことのない人には、お勧め。有名な『黒い雨』よりこちらのほうが、私は好きである。しかし「駅前旅館」はじめ、井伏作品が最近絶版気味であるのは、少々もの哀しい気がする。
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8 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
私は「屋根の上のサワン」が、自分の読んだ短編の中で一番好きだ。…
主人公の経歴など一切、言及しない。ただ孤独で陰鬱である、と
いうことしか語らない。そんな彼を代弁するかのように、貪婪な赤月が
今夜もまた昇る。傷つける雁のサワンは今夜も夜空に向けて絶叫する。
僅か数ページに、この上なく、うら哀しい気持ちが、今夜もまた
胸を締めつける…。
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1 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By onnma
形式:文庫
《山椒魚は悲しんだ。
 彼は彼の棲家である岩屋から外に出てみようとしたのであるが、
 頭が出口につかえて外に出ることができなかったのである、、》

この一文で始まる表題の短編は、私にとって、最も重要な日本文学作品です。

本作の含意するもの、比喩、隠喩などに読み込むべきことを考慮した際、
これほど肝の据わった時代(権力)批判を果たし得た作品を私は他に知りません。

清冽な自然感性の中に寓意豊かに示される生存の孤独、悲しみ。
それへ擬人化された山椒魚や蛙の命運は、畢竟、我々の生きる社会の閉塞と、
悲哀そのものを証し立てています。

本作は後年、自選全集収録に際して井伏自身によって末文の部分、
「ところが山椒魚よりも先に(中略)おこってはゐないんだ」が削除され、
各方面より批判を主だった議論が巻き起こりました。
これは今更をどちらでもよいのかと思います。むしろ読者のみなさんは、
この話の更に後のイメージを想起できるのではないでしょうか。

つまり、それが悲しかろうとなかろうと、許し合おうと合わなかろうとです。
うっかり閉じ込め、閉じ込められたお互いは、自然(生存競争)の只中に於いて
敗者であり、それへ朽ち果てるのだということです。

井伏鱒二がこうした寓話に含めたことの空恐ろしさや生(自然)の本性を一々表すのは
野暮ですし、容易でもありません。それは読み手に従って幾らでも豊かなものに
なるものと思います。その意味で、手にして如何なる再読にも耐え得る名作群
なのだと思います。

尚、ノーベル文学賞の候補者でもあった著者ですが、受賞辞退の意を
公言していたことも、当時としては有名な話です。
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最近のカスタマーレビュー
孤独の描写が秀逸
何の予備知識もなく読んでみました。
印象に残った作品の感想を書いてみます。

「山椒魚」... 続きを読む
投稿日: 13か月前 投稿者: domidomi
何度読みかえしてみても美しい
表題作の山椒魚は、最初の一文から強く惹きつけられる
行間の味わいが秀逸である。... 続きを読む
投稿日: 24か月前 投稿者: 天園太郎あまぞのたろう
絶望の中で……
蛙を岩屋に閉じ込めることに成功した山椒魚は自分もそこを抜け出せなくなる。絶望の密室の中二人にやがて死という運命が……この後どういう展開になるのか。短編小説はこのよ... 続きを読む
投稿日: 2006/5/25 投稿者: ボイヤー
井伏氏の初期短篇集
大きくなりすぎて、狭い岩屋の外に出られなくなってしまった山椒魚の孤独を描いた井伏氏の処女作である表題作のほか、ダムで水没する村に住む老人を語る「朽助のいる谷間」、... 続きを読む
投稿日: 2003/12/14 投稿者: bluepasta
屈託に満ちた小説集
... 続きを読む
投稿日: 2003/7/7 投稿者: hongming
短編の最高傑作!
井伏鱒二の短編集です.しかし,この一冊は一つ目の短編「山椒魚」のためにあるといっても過言ではないでしょう.ほんの10ページ程度の短編の中に喜怒哀楽という感情の波が... 続きを読む
投稿日: 2003/1/12 投稿者: caster21
描写のうまさに驚かされます。
井伏鱒二の代表的な短編が多く収録されていますが、特に『山椒魚』の描写のうまさに驚かされます。山椒魚を取り巻く環境、山椒魚の心理…このあたりの描写は非常に面白いです... 続きを読む
投稿日: 2000/11/27 投稿者: ryopooh
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