ご存知井伏氏の短編集。氏の軽妙なユーモア、余韻を残す文章、詩人の眼による描写を堪能することができる。他にもいくつかの出版社から出されているが、同じ文庫でも値段や収録は様々。一番手頃でメジャーなのは、新潮文庫の『山椒魚』だと思うが、残念ながらそこには、この岩波文庫収録の「鯉」や「遥拝隊長」は収録されていない。勿論、岩波文庫にはない短編も新潮文庫には収録されていたりするのだが。
他の文庫になると、やや高くなる。本当は、そんなに長いものではないのだから、新潮文庫や岩波文庫でもう少し載せても良いように思うのだけれど。
「山椒魚」や「屋根の上のサワン」、「へんろう宿」といった収録作品が新潮文庫とかぶっているのが難点ではあるが、井伏作品が好きな人には「鯉」や「遥拝隊長」は外せないと思う。「丹下氏邸」なんかも、本書には収録されている。あまり高い本ではないので、新潮文庫を持っている人でも買って損はないはず。