『甲陽軍鑑』に描かれている「山本勘助」像を追い求めた本。
どのような地位にあったか諸説あり、存在自体も疑われている
「山本勘助」という人物に迫る。
戦国好きの間では知らぬ人はいない山本勘助であるが、その
人物像には多くの混乱がある。その辺りの議論を、この本は
分かり易く解説してくれている。
1969年に発見された「市川文書」で「山本管助」なる人物が
確認されたことで、「山本勘助」がまったくの空想の人物で
ないことが明らかになったことは周知の事実である。しかし、
この「山本管助」と「山本勘助」が同一人物であるかには
疑問が残されている。そこで筆者は、『甲陽軍鑑』の資料と
しての信憑性の検討を行い、後世になって付け加えられた逸話
を取り除いて、『甲陽軍鑑』そのものの再評価をしている。
さらに第四章では築城術について書かれており、これが秀逸。
『甲陽軍鑑』で紹介されている勘助流の軍略・築城術に光を
あてた本は少ない。特に「馬出」については、躑躅ヶ崎館でも
発見されたため(実際に私も見てきた)、その重要性が強調される。
最後に、『甲陽軍鑑』における「山本勘助」が創作であった
としても、その創作した意図が何であったかを探っている点
は興味深い。