僕自身はいわゆる奥羽越列藩同盟のあった県の出身ではないのですが、忠義の人・会津藩主松平容保公を敬愛している関係からも、江戸っ子の半藤氏が常々語っておられる“薩長史観”に対する反論には、溜飲が下がる思いをしておりました。(でも、松陰先生と東行さんは大好きです)
この本も山本五十六元帥の故郷・越後長岡藩の歴史にまで遡り、薩長のいうところの“賊軍”の出身であったために海軍の主流派になれなかった山本元帥の苦悩の日々を伝えています。
半藤氏が疎開時に長岡で過ごし、山本元帥は県立長岡中学校の先輩でもあるということで愛情と尊敬の思い入れ深く、されど史実には忠実に元帥の人となりに迫っています。
ただ、自分の不勉強を棚に上げるようでお恥ずかしいのですが、年表や帝国海軍の組織図、太平洋戦争の軍略図(こちらは2点ありましたが)等があればもっとよかったかな、と思います。(文庫本は大抵外出時に読むため、脇に年表や地図を広げる訳にはいかないのです。)
また、年表等があれば、12月に半藤氏が企画にも携われた映画が役所広司氏主演で公開されるとのことですので、山本元帥の名前さえ知らない若い世代にももっとアピールできたのではないかと思います。
いずれにせよ、世代を問わず多くの人に読んでいただきたい本であることに変わりはありません。是非お勧めいたします。