わずか0.5畳の極小小屋から始まる、ささやかな山小屋を作って滞在してみるための設計、場所の選定、諸々の注意点などが図解と共に記された一冊。
実際にこの本を読んで山小屋を作ってみようと考える人がどれだけ存在するかは疑問が残るが、たとえ実際に自分の山小屋を建てなくても、「よし、これなら自分にも(数日の時間と多くて数万円の予算があれば)出来そうだ」という夢を抱かせ、毎日の生活に心の張りを持たせる一助になると考えれば読んでみる価値は十分にある。
筆者は食物生態学などの分野を本業とし、関連するジャンルでエッセイを著してきた人物。
一連の著作には(ともすれば)偏屈とも受け取れてしまう説教くささがにじみ出ていて好き嫌いが分かれるところだが、この本にはそのような描写は控えめになっているので(それでも少しはある)独語に後味の悪さを感じる人はあまりいないのではないだろうか。
内容があまりに極論に走りすぎていると言ってしまえばそれまでではあるにせよ、普通ではなかなか発想しないようなアイデアが小屋の設計、レイアウトなどに散見できるので「山小屋建設=別荘建設=最低数百万円の費用」という固定観念を洗い流してくれる。
子供の頃に裏山や空き地で秘密基地ごっこなどに夢中になった思い出を持つ人には、大人になってからのささやかな秘密基地遊びのハウツー本として一読をお勧めできる。
個人的には本文中に掲載されている筆者自身の妙ちくりんな挿絵が非常に気に入っている。