何よりも文章がうまい。だから流れるように読めていく。
「やくざ=暴力団=悪者=排除すべき」……という考えに真っ向から反論する。
もちろん、やくざを全面的に肯定しているわけではない。
しかし、体制がヤクザを利用してきた歴史や、被差別階層をやくざが受け入れてきたことを抜きに
日本人とやくざのことは語れない、というのが著者の一貫した主張だ。
本書は、日本のヤクザの「ガリバー」でもある山口組の通史である。
今、暴力団に対する締め付けが厳しくなっている。
その中でやくざは……いや山口組はどう変わろうとしているか
変わらざるをえなくなっているか……
それがくっきりと見えてくる。
単なる巨大やくざ組織の通史としてではなく、
日本人とやくざとの、深い深い関わり、
ある意味で必要悪ともいえる部分をもった組織の役割など、
ルポルタージュとしての読み応えもある。
私はやくざを肯定する者ではないが、
やくざ以上に唾棄すべき人種が跋扈していることも否定しない。
また、被差別階層をやくざが受け入れなかったら
今の日本はどうなっていたかを考えると、ぞくっとするものさえ感じる。
今後の山口組の動向を予見する意味でも
読み応えのある価値ある一冊だと思う。