《雪の山荘》に閉じ込められた六人の男女が、ひとり、またひとりと殺されていき、
『そして誰もいなくなった』にいたるという、きわめてクラシカルなプロットの展開を
見せる本作。しかし、そこで読者に示される奇天烈な謎――《雪密室》での殺人
を可能にした凶器や“雪上を這う巨大な兜虫”――の真相は実に衝撃的で、その
是非はともかく、後々まで忘れられない印象を読者の心に刻みつけると思います。
また、真相が究明された果てに浮かび上がる偏執的な事件全体の構図も秀逸。
過去に
前例はあるものの、冒頭に「読者への挑戦状」
を掲げ、フェアプレイに徹する姿勢は好感が持てます。
不自然な舞台設定や偶然の多用、そしてあり得ないバカトリックの連打など、
真面目な方からは、「荒唐無稽」の一言で切って捨てられそうな本作ですが、
リアリズムよりも遊び心を重視する読者には堪らない、怪作(バカミス)ですw