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屍者の帝国 [単行本]

伊藤 計劃 , 円城 塔
5つ星のうち 3.6  レビューをすべて見る (37件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容紹介

フランケンシュタインの技術が全世界に拡散した19世紀末、英国政府機関の密命を受け、秘密諜報員ワトソンの冒険がいま始まる。日本SF大賞作家×芥川賞作家、最強コンビが贈る超大作。

早逝の天才・伊藤計劃の未完の絶筆が、
盟友・円城塔に引き継がれて遂に完成!

2009年、34歳の若さで世を去った伊藤計劃。
絶筆は、未完の長編『屍者の帝国』。
遺された原稿は、冒頭の30枚。
それを引き継ぐは、盟友・円城塔ーー

日本SF大賞作家×芥川賞作家ーー
最強のコンビが贈る、大冒険長編小説。
全く新しいエンタテインメント文学の誕生!

フランケンシュタインの技術が全世界に拡散した19世紀末、
英国政府機関の密命を受け、秘密諜報員ワトソンの冒険が、いま始まる。

内容(「BOOK」データベースより)

19世紀末―かのヴィクター・フランケンシュタインによるクリーチャー創造から約100年、その技術は全欧に拡散し、いまや「屍者」たちは労働用から軍事用まで幅広く活用されていた。英国諜報員ジョン・ワトソンは密命を受け軍医としてボンベイに渡り、アフガニスタン奥地へ向かう。目指すは、「屍者の王国」―日本SF大賞作家×芥川賞作家が挑む渾身の書き下ろしエンタテインメント長編。早逝の天才・伊藤計劃の未完の絶筆が、盟友・円城塔に引き継がれ遂に完成。

登録情報

  • 単行本: 459ページ
  • 出版社: 河出書房新社 (2012/8/24)
  • ISBN-10: 4309021263
  • ISBN-13: 978-4309021263
  • 発売日: 2012/8/24
  • 商品パッケージの寸法: 19.2 x 13.4 x 3.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 3.6  レビューをすべて見る (37件のカスタマーレビュー)
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14 人中、11人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 天使のくま VINE™ メンバー
形式:単行本
 伊藤が残したわずか30枚のプロローグと執筆のメモを円城が引き継ぐことで完成させた作品。屍者というのは、ゾンビというとわかりやすいかもしれない。死者にプログラムをダウンロードすることで、ゾンビとして甦らせる技術が確立された19世紀が舞台。プログラムによって、屍者を自由にあやつることができるし、とりわけ兵士としては死を恐れないだけに、最強の兵士となる。
 テーマそのものは、伊藤の「虐殺器官」「ハーモニー」を受け継ぐもの。それを円城がどのように具体化させるか、あるいは保留するか、ということになる。それは同時に、円城はどう考えるか、ということでもある。
 それは、ものすごくトリッキーな形で、円城なりの解答を示したものとなったのではないだろうか。
 伊藤にとって、意識を持った、生きている人というのは、どういった存在なのかということが、常に問われていた。直接的には「ハーモニー」で意識を失った、つねに合理的な決定ができる知能を持った人間が描かれる。その前の「虐殺器官」では、痛みを失うことで、死すら意識の外に置かれ、ひき肉状になるまで戦い続ける兵士が描かれる。
 屍者はといえば、意識を持たない、プログラムされた存在だといえるだろう。では、生きた人間にプログラムをダウンロードしたら屍者になるのだろうか。
 けれども、円城はこの問いに直接的に答えを示さない。円城がこれまで書いてきた小説の世界は、ある種の蓋然性の世界だとすれば、この作品では伊藤が描くようなもう少し身近なSF小説の線形に記述される世界であり、円城はその世界をあたりまえのように描いている。
もっとも、その記述には、伊藤/円城らしく、さまざまな知識/情報がはめ込まれている。屍者の由来や活躍する人物などをあげていけば、それだけで魅力的に感じるかもしれない。
 円城が伊藤の小説を書き継ぐにあたって、トリッキーな設定を導入している。というのも、主人公に仕える屍者が、記述している、という設定になっているからだ。円城が屍者として、伊藤の小説を記述している、ということなのかもしれない。それは屍者ゆえに、生きていたときの伊藤による文章とは大きく異なっている。伊藤の小説の主人公は、ときおり、過剰に感傷的になる。その感傷こそ、生きている証なのだろう。けれども、屍者はそうした感傷は持たない。ただ、主人公の活動を記録するだけである。屍者には十分な知能があり、記述が可能であり、主人公の思考を外側からなぞることすら可能。けれども、意識はなく、感情はなぞれない。それが、本書の文章である。もっとも、この設定は、エピローグにも関わってくる。
 という難しいことを考えなくても、アフガニスタン、日本、アメリカとかけめぐるゾンビ小説として、素直に楽しめるし、本当に前述のようなペダントリックな引用も彩を与えている。1+1が2とか3とかになったというよりも、iとかωとかになったような、そんな作品なのだと思う。
このレビューは参考になりましたか?
10 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 2.0 伊藤作品では無い 2013/3/21
By Mick
形式:単行本
今は亡き作者の面影をいつまでも追い求めることが不毛だとは重々分かっているのだが、プロローグに当たる衝撃の遺稿を読んで、やはりどうしても期待してしまっていた。タイトルからしても、この作品は、大英帝国の首都であるロンドンが物語の舞台に想定されていたのでは。冒頭部分では冷たく陰鬱な都の空気を感じ取ることができ、屍者たちもそこを蠢くことで凄みがあったように思う。円城氏による第一部以降、舞台が目まぐるしく変わり、そうした不気味さは感じられなくなった。カラマーゾフの登場人物たちもさすがに上手く配置されているが、深みが無い。ただあの遺稿をきちんと一つの作品にすることは本当に大変であっただろうし、円城氏には敬意と感謝を捧げたい。
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50 人中、37人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 やっと出たか!! 待ちかねたぞ!! 2012/8/29
形式:単行本
円城塔と伊藤計劃という、似ても似つかない作風の二人の共著、という事で期待半分心配半分で手に取りました。
結果としては大満足です。

冒頭のプロローグの時点で、面白いことが起こる予感がして、それを引き継ぎつつも面白いだけでは終わらない物語を提示してくれました。
屍体が動く世界。
その時点で、ややファンタジーめいていますが、そこに出てくる登場人物は有名な人物達。フランケンシュタインやワトソンを始め、様々な物語のヒーローが活躍し、実在の人物達も交えて大活劇を繰り広げます。

屍体を動かすことで、人間とは何かに迫るという割と観念的なテーマが面白いと思われます。

ただ、伊藤計劃に期待していたような映像的な描写に関してはもの足りないと感じます。意図的に少なくしている感はありますが。確かに長々と続けられてもなあ、という描写であり、その辺りは作家が冷静な判断を下しているようです。
一方で、円城らしい概念へのアプローチが見え隠れしていて、伊藤計劃がプロローグにのみ示した設定に深みが生まれています。一読する価値はあります。

SFとして新しいアイディアがあったのかといえば、そこまで新鮮なものがあったわけではありませんが、屍者がうごめく19世紀という世界観がそれを補って余りある新鮮なイメージを提供してくれます。マジかよ・・・というような真実も提示されます。

なにやらアニメのパロディらしき台詞もありますし、普段は見られない円城塔が見れた、という点でも大喜びです。

話を収束させていく段になると、少しずつ遊び心が無くなっていき、それが良くもあり悪くもありました。そればかりは、この本のいきさつからして仕方が無いとしかいいようがありません。
久々に、質の良いSFエンタメに出会った気がします。

<余談>

伊藤計劃と円城塔の才能が混ざり合ったらどうなるのか、そればかりがこの本の出版まで気になり続けていました。
プロローグに該当する、伊藤計劃本人の遺稿30P、その出だしだけでも、この物語は面白いと感じていました。伊藤計劃が亡くなってから数年。円城塔がこの作品を引き継ぐと聞いたときに、どれだけ胸が躍ったか分かりません。
天才の遺稿を、もう一人の天才が引き継ぐ。この本には、内容の外にもドラマがあります。

本書の世界観はサイバーパンクの旗手、ギブスンとスターリングの共著『ディファレンス・エンジン』に影響されています。文庫版で同書の解説を共著した伊藤計劃と円城塔が、結果としてこの本を「共著」する形になったことに、どこか運命のようなものを感じます。

出版してくれてありがとう。それこそが、この作品に送るただ一つの言葉なのだと思います。
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投稿日: 7日前 投稿者: Vergs
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投稿日: 2か月前 投稿者: 蓬屋
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