山荘、幽霊、秘密の部屋といったミステリーの要素から一転、過去への扉を開いたとたん、いいようのない歴史の闇が紐解かれる。
自分の身近にいた祖父が、おじさんが実は過去にとても恐ろしいことをしていた事を知ったときの、孫たちの困惑、苦しみがとてもリアルに描かれている。
知りたくなかった、知ってしまった、知ったらどうするのか。
その中で既に大人になりかけている直樹、戦争を引きずるものとしてのお母さん、みすずさんの対応は、大人子供が多いこの国であるべき「大人」の在り方を示していると思う。
「ふたりのイーダ」で戦争の被害者として直樹とゆう子の物語を描いた作者が、加害者側として本作を描いたことが素晴らしい。
戦争は、被害者であり続けることを許さないものだから。
児童書であるので、難しい言葉はなく比較的短時間で読み終えることができるのに、長い間心に残り大人になってからも忘れることが出来ない一作になることは間違いありません。