盛りだくさんの内容の割には、テンポよく読み進むことができました。医療ものの場合、どうしてもある程度の基礎知識と言うか、専門用語と言うか、社会的背景と言うか、が必要となってしまう。これをまともに解説し出すと、単なる解説本になり、かといって省くと多分普通の読者には理解のしようがない。。。ここらのバランスは難しいが、本書はその点は成功していると思います。
とは言え、医療だけではなく、酪農、畜産業、製薬業界と、これまた十二分に専門性の高い業界の話をからませるので、やはりそのつどうまい説明(というか挿入)も若干話の流れを悪くするところがでてしまう。それでもトータル、非常に読みやすい、いい流れの作品に仕上がったと思います。
人物の書き込みに行くのか、サスペンス・謎解きに行くのか。。。このあたりが、これら特殊な業界の話の解きほぐしで、若干息が切れたようです。
親子愛、謎解き、ともに書き込み不足の感は否めません。
ただ、謎解きの方と言うか、ある種の犯罪の実行に関しては、この手は知らなかったなぁ、とけっこう面白かった(途中から、あれ、この人がと思えてはきますが)。読後感のよさもうれしいものです。
もう少しこなれてきて、十分に贅肉をそぎ落とすようになると、更にテンポよく、重厚な作品をうむのではないでしょうか。
今後に期待して、楽しみにしたいと思います。