ひたすら一途でバカな眼鏡フェチのポエマー・秋保と、誇り高く冷徹に振る舞いつつも、熱い想いに素直になれないおのれに心悩ませる知性派眼鏡っ娘・篠奈先輩との、何とも奇妙にねじけた恋を描いた、西川魯介・一代の最高傑作。
作者初の長編となった本作が雑誌連載されたのは古く1996年。眼鏡への愛情と作者の熱い主張が全編に詰め込まれた風変わりだけれど正統派のドタバタラブコメは、様々な事情から単行本化に数年の月日を要した。
しかしコミックス発売は魯介氏への再評価のきっかけとなると共に、2000年代前半の眼鏡っ娘ムーブメントの起爆剤の一つとなり、再び絶版にはなってしまったが、昨今はツンデレラブコメの先駆として見直されてもいる。単行本1冊完結ながら、近年の漫画界に少なからぬ影響を残した作品と言えるだろう。
「西川魯介から1作選べ」と言われたら、大方の漫画読みはこれを挙げると思う。
以後の西川魯介作品のエッセンス(ショタと百合を除く)のほとんどすべてが、このデビュー長編にはある。どこかヘンだけど――でも、そこがいいのだ。