待ってました! 第31〜32巻「更衣ノ鷹 (上) (下)」でそれまでの環境が瓦解して(リセットされて)しまい、33巻「孤愁ノ春」で田沼意次の刺客から逃れるため、磐音とおこんは江戸を離れ尾張名古屋へ。逃避行は読んでいても侘しくストレスが溜まりましたが、この34巻「尾張ノ夏」で、本来の「居眠り磐音 江戸双紙」が帰ってきました!
名古屋の寺に身を寄せた磐音とおこんは、他に伝手もないまま、偶然通りがかった呉服屋の尾州茶屋家で神君家康公より拝領の陣羽織をめぐる騒動に巻き込まれ、騒ぎを収める手助けをするのです。正体を伏せたままの磐音とおこんに、茶屋の大番頭が興味を持ち、「剣の稽古ができる場所と相手を探している」という磐音を尾張藩道場に案内したところ大騒ぎに…。
江戸の両替商 今津屋に出入りするようになったときのことを思い出しました。どこに行っても磐音は剣の腕だけでなく、その温厚で誠実な人柄ゆえに皆に信頼され、助け助けられる関係を築いていくのです。個人的にはご当地 名古屋ネタもうれしい。時代小説の醍醐味のひとつは、その時代背景や文化を知るきっかけになること。 当時、名古屋の城下町につながる街道は「五口」といい、熱田口、枇杷島口、大曾根口、清水口、岡崎口があったそうです。熱田、枇杷島、大曽根、岡崎は地名として残っていますし「清水口」はそのままあります。ちなみに「尾州茶屋家文書」が名古屋市蓬左文庫に残っているとか。
「磐音 Vs. 田沼意次」の構図は変わらず、磐音側に尾張藩と尾州茶屋が加わりました。尾張藩は徳川御三家の筆頭であり、尾州茶屋は表向きは呉服問屋ながら裏では諜報活動も行っています。一方、江戸の仲間である三味線づくりの鶴吉や今津屋も、磐音とおこんの力になろうと動き出します。やられっぱなしじゃイケマセン。まずは、おこんが無事に元気な子を産んでくれることを祈り、磐音たちの尾張名古屋での活躍を期待しています!